SG改造の極意:究極のトーンとプレイアビリティを目指すカスタム術
SGは、その軽量でスリムなデザインで多くのギタリストに愛されているモデルです。しかしSGは弾きやすいものの、そのままでは物足りない、もっと自分好みのトーンや使い勝手にしたいと感じることもあるのではないでしょうか。
本記事では、自称SGマスターの私が、SGをさらに魅力的にするための改造ポイントを詳しく解説します。ペグやブリッジ、テールピース、ポットなどのパーツ交換から、トーンに直結するコンデンサの選び方まで、具体的なアイデアを多数紹介しています。
SGの長所と短所
世の中にはSGより素晴らしいギターは沢山ありますが、私が何故SGを好きかと言うと、圧倒的な弾きやすさです。私の手が小さいというのもありますが、まずはミディアムスケールだということ。
人気のフェンダーギターはロングスケールを採用していて、弦長(ナットからブリッジまでの長さ)が25 1/2インチ(648mm)。
対してギブソンのギターの弦長は24 3/4インチ(628mm)で、約2cm短くなっていますので、特にフレット間の幅の広いローポジションでのプレイアビリティ(演奏性)は抜群です!
さらにボディーの両側がカットされているダブルカッタウェイ+ネックとボディーのジョイントが浅い(61Reissueの場合22フレットで接合されている)ため、同じギブソンのレスポールと比べハイポジションでのプレイアビリティも抜群です!
例えばこのCフォーム
これを5弦20フレット(Fがルートで17フレットはバレー)でも押さえられる(といってもあまり弾くことはないですが)ギターはなかなかありませんよ😍
そんなSGに慣れてしまうと、それが出来ないギターは欠陥のあるギターに思えてしまうほど。
ただし欠点もあって、それは出音がいまいち良くないこと。。。SGというギターはボディーが薄く小さいので低域は弱いし、材もマホガニーという柔らかめの木材を使っているせいでしょうか、SGはソリッドギターの略なのに、高域が弱く、ほぼ中域しか出ないギターです(この音の柔らかさも良いのですか)。
これはアンプの設定次第でどうにでもなるのですが、ストラトキャスターやレスポール、テレキャスターなどと同じ設定で弾くと、どうしても音ヌケが悪く納得のいかない面もありましたが、私自身いろいろ改造してようやく理想のサウンドにたどり着きました。
※私の理想=音はレスポール、弾きやすさはSG。
SG改造のポイント
ほぼ中域しか出ないギターをどうしたのかと言いますと、様々な部分のパーツ交換をしてSGの高域を増す方向に持っていくことです。
そうすることで、ただ弾きやすいだけであったSGが魅力的なレスポールライクのようなサウンドの出るギターに変わります。
「SGの音を何とかしたい!」という方、とりあえずここから先を読んでみて下さい。きっとヒントになることもあるはずです。
ペグはデカくて重いものに替えろ!
SGの音に不満ならまずはペグ/マシーンヘッドを替えましょう。おすすめはGrover(グローバー)のペグです。
GROVER ( グローバー )102-Ni:
ペグ/マシーンヘッドは単にチューニングを合わせるだけのものではありません。ペグ/マシーンヘッドには軽いものから重いものまで様々で、軽いペグで代表的なものはクルーソンタイプのペグ。
クルーソンタイプのペグは、50年代のヴィンテージギターによく使われていたタイプで、ペグ自体が軽量なため、倍音を多く含んだ軽快なサウンドが特徴です。対してGroverに代表される重いロトマチックタイプのペグは、重い以外にもネック表面からナットでがっちりと固定されるために倍音の少ないカチッとした音が特徴です。
カスタムショップ製のギターを除き、近年のレスポールやSGなどのペグは、ネック表面からナットでがっちりと固定するロトマチックタイプのペグが付いているために、通常のロトマチックタイプのペグから、さらに重いGrover(グローバー)のペグにそのまま交換可能です。
SG 61Reissueオリジナルのペグ
ペグがさらに重くなることで、ヘッドが共振しにくくなりカチッとした高域の出るSGサウンドに変化します。
※クルーソンタイプのペグが付いているSGに、Grover(グローバー)などのロトマチックペグに交換することは取り付け穴の径が異なるために出来ません。
Groverペグほどの効果はありませんが、ヘッドに取り付ける錘・重り”FAT FINGER”でも代用可能です。
FENDER Fat Finger
ファット・フィンガーはギターのヘッドに取り付けることで、質量が増しサステインアップ&高域特性の改善が可能です(重いペグを付けるのと同じ効果が得られます)。
付ける場所によっても変わりますので色々試してみると面白いですよ。
少し大きなベース用もラインナップされています。
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※ロトマチックから取り付け径の小さなクルーソンに交換するには、コンバージョンブッシングを使用すれば交換可能ですが、SGの音的にはおすすめしません。
※はじめからGroverペグの付いたSGをお持ちの方、あなたはラッキーです!
GROVER ( グローバー )102
ちなみに同じ102ペグでも種類があって、末尾にVのついたモデルは「Grover 102V」はヴィンテージ仕様で形もカッコよくなっています。しかもギア比は18:1と性能もUPしています。
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参考:
➡SGのペグをGROVER ( グローバー )に交換
➡SG 61モデルのペグを2コブのクルーソンに交換
ブリッジを替えろ!
弦が載る部分であるブリッジは音質改善にはとても重要です。ギブソン系のチューンOマチック・ブリッジ~テールピースは各社から発売されていて私も色々試しましたが、おすすめはTONE PROS ( トーンプロス )のABR-1ブリッジ。
TONE PROS ( トーンプロス )は本家ギブソンの純正パーツとしても採用される信頼のメーカーで、特徴は作りの良さと、ブリッジをスタッドにイモネジで固定できること。
固定することで、弦交換時にスクリューに触れてしまい、弦高が変わってしまうことが防げますし、音質に関して言えば、固定時と、固定しないときの2種類の音を試すことも出来ます。
TONE PROSにブリッジに交換することで音が太く艶やかになりますし、さらにブリッジをイモネジで固定することで、カチッとしたタイトでブライトな音色に、固定を解除すると柔らかな純正のABR-1に近い音色になります。
TONE PROS ( トーンプロス )/ ブリッジ
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ABR-1タイプやナッシュビルタイプなど種類があるのでお手持ちのSGに合うものを選びましょう。
参考:
➡SGにTONE PROSのABR-1ブリッジを取り付け
➡おすすめのギブソン用ブリッジ
テールピースは外せ!
SGの音質改善に最も効果があったのはテールピースを外してしまったこと。
テールピース交換はレスポールの改造には定番で、ヴィンテージのレスポールやカスタムショップ製レスポールに採用されている軽いアルミ製のテールピース交換することでシャリ~ンとた綺麗な音質に変えることが出来ますが、SGに関してはあまり良い結果は得られませんでした。
おすすめはBigsby(ビグスビー)というトレモロユニットを取り付けること。
SGはプレーン弦(1、2、3弦)の音が太く、巻弦とのバランスがあまり良くないのですが、Bigsby(ビグスビー)を取り付けることでプレーン弦の音の抜けが良くなります。
私はレスポール用で持っていたBigsby B7(写真上)を改造して取り付けていますが、SG用であるBigsby B5(写真下)でも同じような効果は望めると思います。
Bigsby(ビグスビー)の取り付け
Bigsbyは通常ボディートップに穴を開ける必要がありますが、VIBRAMATE ( ヴィブラメイト ) というパーツを使用すれば、既存のテールピースのネジ穴を利用するので加工無しで取り付けることが可能です。
VIBRAMATE ( ヴィブラメイト )
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Bigsby B7にはVIBRAMATE V7、本来のSG用であるBigsby B5にはVIBRAMATE V5になりますので、セットで購入しましょう。
見た目や音が気に入らなければ簡単に元に戻すことも出来ます。
BIGSBY ( ビグスビー )
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Bigsbyの取り付けにはさらに良い点があって、それはヘッド落ちがなくなること。SGはボディーが軽く小さいために、ストラップを付けて立って弾いたときに、手を離すとヘッドがスルスルと下がってしまうという欠点(バランスの悪さ)があるのですが、重いBigsbyを取り付けることでそのヘッド落ちが解消されます。
ただし、上記Groverペグに交換するとヘッド落ちが再発するようになりますが、音優先で私は我慢しています。
参考:
➡SG にBIGSBY B7を改造取り付け
ポットはCTSに替えろ!
エレキギターを購入したら絶対にやるのが、ボリュームとトーンのポットをCTSのポットに交換すること。
CTSの良い点
CTSの良い点は出音が太くなること。さらにボリュームを絞ったときの音も良くなることです。
このSGなどのハムバッキング・ピックアップ搭載モデルは、時に音がブーミーに感じることもあるのですが、ボリュームを少し絞ることでシングルコイルとまでは行かなくても、(音ヤセとは違う)低域が少し抜けた非常に魅力的な音になります。これがCTS以外のポットだと音がショボくなってしまうから不思議です。
同じ’61 SG Reissue使いのゲイリー・クラークJrもインタビューで「時に、ネック側のピックアップをセレクトしボリュームを下げると、素晴らしく美しい、歌うようなトーンが得られるのです。」と語っていますがまさにその通り!
参考:ゲイリー・クラークJrが語る現代におけるブルースの再構築 _ Gibson Japan
※彼のSGは、ストップテール仕様のリイシューではなく「スウィング・アウェイ・プル・サイドウェイ・トレモロ付き」なので、このページで行っている改造のように若干ブライトな音質を持っていると思われます。
私もレスポールやSGのギターのボリュームを少し絞ったときの音が大好きです。
ハムバッキングピックアップ搭載のSGには500KΩのボリュームポットを選びましょう。
CTS 500k
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参考:
➡おすすめのCTS製コントロールポット セレクター
コンデンサはオイルに替えろ!
ボリュームとトーンのポット同様、ギターを購入したら絶対に替えるのがコンデンサーです。
コンデンサーとは、エレキギターのトーン回路で使用される電子部品で、私も少ないながらもコンデンサーを色々試した限りではやはりオイルコンデンサが良いですね。
コンデンサはトーン10にしても完全にカットされるわけではないのでここにショボいコンデンサが付いてると音が良くなりません。
トーンを絞った時の音質も重要で、60~70年代のギターの音が好きな私はオイルコンデンサに交換し、トーンを絞って出音の微調整を行います。
エリック・クラプトンがクリーム時代によくやっていた(トーンを0にして弾く)ウーマントーンも良いコンデンサ付いていればこそ出来る技です。
アンプの設定やピックアップのチョイスにもよりますが、ボリュームポット同様、トーンはフルか、ちょい絞りが良い音のコツ(特にリアピックアップ)。
一般的にSGやレスポールなどのハムバッキングピックアップ搭載ギターには0.022uFのコンデンサーが付いているので、同じものに交換しましょう。
参考:
➡おすすめのコンデンサ ( キャパシタ )
➡SG用にヒグチ電子のオイルコンデンサを取り付けてみた
最高のSGに仕上がりました
ということで、長い時間をかけてようやく理想のサウンドになった我がGibson SG 61Reissue。
手のかかる子ほど可愛いといいますが、このSGは本当に大好きなギターです。
それ以外ではピックアップ交換などもありますが、今のところ現在のPAF系ピックアップであるセイモアダンカンのSeth Lover model ( SH-55 )で満足しています。
➡SEYMOUR DUNCAN ハムバッキング用ピックアップ
弾きやすくてカッコいいSGは大好きなギターでしたが、唯一音があまり良くないという欠点がありましたが、これらの改造でレスポールライクな素敵なサウンドも得られるということが分かりました。
これならもう一本買ってもいいかな。もちろん同じような改造をすると思いますけどね。
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