しっかり調整されたギターは、弾きやすさだけでなく音のクオリティにも大きな違いを生みます。ネックの反りや弦高、オクターブチューニングは、快適な演奏を支えるだけでなく、上達のスピードにも直結する重要なポイントです。
本記事では、ギター初心者でも自分でできる調整方法をわかりやすく解説していますので、ぜひこの機会にマスターしておきましょう。
特に、弦の太さやメーカーを変えたとき、季節の変わり目はギターの状態が変化しやすいため、念入りなチェックが必要です。

ネックのチェック
ギターの調整は一度やったら終わりではなく季節の変わり目や、弦のゲージ(太さ)を変えたときなどにもチェックしましょう。適切に調整されたギターは驚くほど弾きやすくなります。
まず弦を張り、チューニングをしっかり行った状態で、ネックの反りをチェックします。
各弦の1Fと最終フレットを押さえ、12F上の高さを見ます
ハガキ一枚位開いていれば正常、それより隙間があれば順反り、隙間が無ければ逆反りということになります。

順反りの場合、弦高が高くなりがちで、非常に弾きにくくなります。逆反りの場合、1~12フレット辺りに音詰まりが発生しやすくなり、いずれの状態も、ギターにとっても、弾く側にとっても良くありません。
トラスロッドを回してみよう
反りを直すには、ネックに仕込まれているトラスロッドと呼ばれるものをレンチや、ドライバーで少しずつ回します。トラスロッドとは、ネック内に仕込まれた金属製の棒のことで、これを動かすことでネックの反りの修正を簡単に行うことが出来ます。
トラスロッドは少しずつ回すのがコツで、時計の針で例えると約5分~10分程度を目安に動かしてみましょう。
- 順反りの場合=トラスロッドを締める(時計回り方向に回します)
- 逆反りの場合=トラスロッドを緩める(反時計回りにまわします)
※弦は緩める必要はありません。固い場合は無理して回さないようにしましょう。
トラスロッドの位置・フェンダータイプ
▼ストラトキャスターやテレキャスターなどの主にヴィンテージ系のフェンダーのギターは、エックエンドに仕込まれているものが多いです。ネックを外し、ドライバーで動かします。

ローポジションにカポタスト/カポを装着し作業を行うと、弦を外さずに作業出来ます。


▼近年のギターに多いのがトラスロッドがヘッド側あるタイプです。ネックを外さない分、調整は楽です。六角レンチで回します。

▼こちらはトラスロッドがネックエンドにあるタイプですが、同様にネックを外さずに調整が可能です。六角レンチやドライバーなど適当な金属の棒を入れて回します。

トラスロッドの位置・ギブソンタイプ
▼レスポールやSG、335などのギブソン系のギターはヘッド側にトラスロッドがあります。カバーを外し、レンチで回します。

トラスロッドの位置・アコースティックギタータイプ
▼アコースティックギターの場合、サウンドホール内にある場合がほとんどです(ギブソンなどヘッド側にあるものもあります)。同じく六角レンチで回します。

▼ロッドの調整が終わったら、弦を張り、チューニングをしっかり合わせ、1Fと最終フレットを押さえ、12F上の高さを見ます。

変わりましたか。厳密に言えば1F~12F、5F~最終F 辺りも押さえ、それぞれ中央の間隔のチェックも行った方が確実です。
理想は同程度の間隔が開いていればOK。しかし、通常は1弦側より6弦側の隙間の方が弦のテンション(張り)が強いので隙間は若干広くなります。
ネックのチェックを定期的に行うことで、ギターの癖(どんなときにネックが動くのか)をつかむことが出来るようになります。また、常に最適な弦高で練習することでギターの上達にも繋がると思いますので是非マスターしておきましょう。
ストラトキャスターやテレキャスターなどデタッチャブルネック(ボルトオンネック)のギターのセンターズレは大丈夫ですか?

弦高調整
ネックのチェックが終わったら、次は弦高調整です。弦を押さえない状態で、12フレット上にスケールを当て、弦の下側とフレットまでを計ってみて下さい。
弦高の目安は 6弦側 1.8mm~2.5mm、1弦側 1.2mm~1.8mmが標準です。
▼6弦側

▼1弦側

※高い弦高を好む人もいるので、あくまでもこれは標準的な数値です(弾きやすければ問題ないですが、一般的に弦高は低い方がフィンガリングは楽だと思います)。
※適当なコードを押さえて弾いてみて、ピックに引っかかりを感じたら特定の弦が高すぎる場合が多いので弦高設定を見直してみましょう。ヴィンテージタイプのストラトキャスターやテレキャスターなど”指板のアールがキツイ”ギターの場合、弦高を低くするとチョーキング時に音づまりが発生する場合があるので、特にハイボジションは念入りに音づまりのチェックしましょう。
ストラトキャスタータイプ
ストラトキャスターやテレキャスターなどフェンダー系の弦高調整は六角レンチで行います。ストラトキャスターの場合はさらにトレモロユニットの調整も必要です。
▼赤で囲った部分(サドル)の穴(各弦2箇所)に六角レンチを入れ弦高を調整します。

トレモロをフローティング(浮かした)状態でセットアップしていると、上記レンチのみでは調整が効かない場合があります。

その場合、ボディー裏のネジを締め込み、浮きすぎたトレモロを元に戻すようにして下さい。フローティングの高さの目安としては、最後尾が2mm程度浮いているのが標準でしょうか。

※私の場合3弦5フレットの音を1音半(C~D#)アームアップ出来るようにセットアップしています(2点支持のトレモロは1音)
▼2点支持のトレモロの場合、上記サドルと共に、赤で囲った部分にレンチ、またはドライバーを使いトレモロ自体の高さも調整します(必ず弦を緩めて行って下さい)。

フロイドローズの場合、各弦の細かな調整は出来ませんので、弾きにくい場合は、指板のアールに合せてサドルの下に専用のシム(サドルスペーサー)を3弦や4弦などに入れると良くなる場合が多いです。
2点支持のトレモロの場合、チューニングが合った状態で、ボディーと平行になる感じがベストでしょう。

コラム:フローティングの有無による音の違い
シンクロナイズドトレモロやフロイドローズなどのトレモロユニットの後方を浮かすか浮かさないかは完全に好みですが、ストラトキャスターらしいトレモロスプリングの鳴りを活かしたエアー感のある音を求めるなら浮かすフローティング設定をおすすめします。
フローティング派の代表はジェフ・ベック。
ストラトキャスターを完璧に使いこなしています。イングヴェイ・マルムスティーンもフローティング派ですね。
ノンフローティング派(ベタ付け)で有名なのは、エリック・クラプトン、エドワード・ヴァン・ヘイレンなどで、サウンドはフローティング設定に比べ、エアー感のないカチッとした音になります。
フローティング設定のメリットは、アームアップ出来るので表現の幅が広がる事。デメリットとしてはブリッジミュート時に強く押さえてしまうと音が不安定になったり、チョーキング時に他の弦のピッチも下がってしまうことです。
どちらも一長一短だと思いますのでプレイスタイルに応じて選択してください。

テレキャスタータイプ
テレキャスターはストラトキャスターとほぼ同じです。赤で囲った部分(サドル)の穴(各弦2箇所)に六角レンチを入れ弦高を調整します。その他ジャガーやジャズマスターなどフェンダーギターの弦高調整はほぼ同じやり方で行うことが出来ます。

ギブソンタイプ
▼ギブソンタイプの場合は2箇所です。赤で囲った部分(6弦側と1弦側も)のサムナットを回して高さの調整をします。フェンダー系よりは楽に出来ますね。

弦高調整が終わったら、各フレット上でビビリが無いか、また、チョーキングをして音詰まりがないかチェックしましょう。
ネックが正常であるにも関わらず、音詰まり等の理由で弦高が下げらない場合、原因として考えられるのは、ギターの性能(これ以上下げられない)、フレットの高さが不揃いやフレット浮きなどが考えられますので、一度楽器屋さんでチェックしてもらいましょう。
※ストラトキャスターなどのデタッチャブルネックの場合、ボディーとネックの間にシムを入れ「ネックの仕込み角を変える」ことでさらに追い込むことが出来ようになる場合があります。
オクターブ調整
オクターブ調整とは、ハイポジションでのピッチのズレを調整する作業です。試しに、12F以降で適当なコードを鳴らしてみて下さい。
チューニングを合わせているにも関わらず、ハイポジションで音がズレて聞こえたり、音が揺れて聞こえる場合はオクターブが合っていない可能性があります。
※オクターブ調整は、必ず新しい弦で行って下さい(安い弦はNG)。
※ヴィンテージタイプのテレキャスターなど、オクターブが完全に合わないモデルもあります。
オクターブの合いやすいテレキャスター用ブリッジはこちらから:

オクターブ調整は、何度も行う必要はありませんが、弦のゲージ(太さやブランド)を変えた時、弦高やトレモロの調整を行った時にはチェックしてみましょう。
まず、チューナーを用意し、しっかりチューニングを行います。

次に、各弦の12フレットを押さえた音(普段と同じ力で押弦して下さい)と、12フレット上のハーモニクス音をチューナーで比較し、音のズレが少なくなるようにサドルを動かします。
- ハーモニクスより実音が高い場合は 後ろ(ボディエンド側)へ
- ハーモニクスより実音が低い場合は 前(ネック側)へ サドルを移動します
ストラトキャスタータイプ
▼赤で囲った部分が+のネジになっているので、サドルを前後に動かします(弦は軽く緩めたほうがやりやすいと思います。

ウィルキンソンブリッジ
▼ウィルキンソンブリッジは、サドルが六角レンチで固定されているために、青で囲った部分に六角レンチを入れ、サドルの固定を解除し、赤で囲った部分に六角レンチを入れ前後の調整をします。

フロイドローズタイプ
▼フロイドローズ(Floyd Rose)タイプのサドルは、前にある六角レンチで固定されているので、弦を緩めて、固定を解除して前後に動かします。

ギブソンタイプ
▼赤で囲った部分のネジを回してサドルを前後に動かします。

▼調整が終わると、大抵は上記のようなブリッジの位置になるはずです。

わかりやすいオクターブチューニングの動画
ネック/ブリッジ周りの調整は以上です。弦高は良いときの状態を数値化してメモしておくと、後々便利ですよ。
ギターのメンテナンスに必要な工具
いかがでしたでしょうか、ギターの調整は覚えてしまえば誰でも簡単に出来ます。ギターの弦高は好みがありますので楽器屋さんやリペア屋さんで行う調整が必ずしも正しいとは限りません、自分で調整ができればギターを持ち込む手間もなくなりますし、メンテナンス費用もかかりません。
最後にギターの調整やメンテナンスに欠かせないメンテナンス・キットや工具を紹介しておきますのでこちらからご覧ください。





