ギターが劇的に弾きやすくなる!ネック&弦高調整で最高のプレイアビリティを手に入れよう!
ギターサウンドのクオリティを保つためには定期的な調整が欠かせません。特に、ネックの状態や弦高、オクターブ調整などは、快適なプレイを実現するために重要な要素です。本記事では、ギターの基本的な調整方法を詳しく解説していますので、自分で出来るようにマスターしましょう。
特に弦のメーカーや太さを変えた時、季節の変わり目には念入りにチェックしましょう。
ネックのチェック
ギターの調整は一度やったら終わりではなく季節の変わり目や、弦のゲージ(太さ)を変えたときなどにもチェックしましょう。適切に調整されたギターは驚くほど弾きやすくなります。
まず弦を張り、チューニングをしっかり行った状態で、ネックの反りをチェックします。
各弦の1Fと最終フレットを押さえ、12F上の高さを見ます
以下の方法は、フレットの状態が比較的良いの場合です
ハガキ一枚位開いていれば正常、それより隙間があれば順反り、隙間が無ければ逆反りということになります。
順反りの場合、弦高が高くなりがちで、非常に弾きにくくなります。逆反りの場合、1~12フレット辺りに音詰まりが発生しやすくなり、いずれの状態もにとっても、弾く側にとっても良くありません。
反りを直すには、ネックに仕込まれているトラスロッドと呼ばれるものをレンチや、ドライバーで少しずつ回します。
順反りの場合=トラスロッドを締める(時計回り方向に回します)
逆反りの場合=トラスロッドを緩める(反時計回りにまわします)
トラスロッドの位置
ギターによって変わりますので、詳しくはギターのマニュアルを参照して下さい。
フェンダータイプ
ストラトキャスターやテレキャスターなどのフェンダー系のギター(ヴィンテージタイプ)はこのタイプ。ネックを外し、ドライバーで少しずつ回します。
ローポジションにカポタスト/カポを装着し作業を行うと、弦を外さずに作業出来ます。
近年のギターに多いのがトラスロッドがヘッド側あるタイプ。ネックを外さない分、調整は楽です。六角レンチで回します。
こちらのタイプはトラスロッドがネックエンドですが、同様にネックを外さずに調整できるタイプです。六角レンチやドライバーなど適当な金属の棒を入れて回します。
ギブソンタイプ
レスポールやSG、335などのギブソン系のギターはヘッド側にトラスロッドがあります。カバーを外し、レンチで回します。
アコースティックギター
アコースティックギターの場合、サウンドホール内にある場合がほとんど。ギブソンタイプのようにヘッド側にあるものも。同じく六角レンチで回します。
注意;
固い場合は無理して回さないように。一度に回しすぎないようにしましょう。
ロッドの調整が終わったら、弦を張り、チューニングをしっかり合わせ、1Fと最終フレットを押さえ、12F上の高さを見ます。
変わりましたか。
厳密に言えば1F~12F、5F~最終F 辺りも押さえ、それぞれ中央の間隔のチェックも行った方が確実です。
理想は同程度の間隔が開いていればOK。通常は1弦側より6弦側の隙間の方が弦のテンション(張り)が強いので隙間は若干広くなります。
ネックのチェックを定期的に行うことで、ギターの癖(どんなときにネックが動くのか)をつかむことが出来るようになります。また、常に最適な弦高で練習することでギターの上達にも繋がると思います。
ストラトキャスターやテレキャスターなどデタッチャブルネック(ボルトオンネック)のギターのセンターズレは大丈夫ですか?
弦高調整
ネックのチェックが終わったら、次は弦高調整です。弦を押さえない状態で、12フレット上にスケールを当て、弦の下側とフレットまでを計ってみて下さい。
弦高の目安は 6弦なら1.8mm~2.5mm位、1弦なら1.2mm~1.8mmが標準です。
6弦側
1弦側
※高い弦高を好む人もいるので、あくまでもこれは標準的な数値です(弾きやすければ問題ないですが、一般的に弦高は低い方がフィンガリングは楽だと思います)。
※適当なコードを押さえて弾いてみて、ピックに引っかかりを感じたら特定の弦が高すぎると言う場合が多いので弦高設定を見直してみましょう。また、ヴィンテージタイプのストラトキャスターやテレキャスターなど"指板のアールがキツイ”ギターの場合、弦高を低くするとチョーキング時に音づまりが発生する場合がありますので、特にハイボジション念入りにチョーキングを行い音づまりがないかチェックしましょう。
ストラトキャスタータイプ
ストラトキャスターやテレキャスターなどフェンダー系の弦高は六角レンチで行います。ストラトキャスターの場合はさらにトレモロユニットの調整も必要です。
赤で囲った部分(サドル)の穴(各弦2箇所)に六角レンチを入れ弦高を調整します。
トレモロをフローティング(浮かした)状態でセットアップしていると、上記レンチのみでは調整が効かない場合があります。
その場合、ボディー裏のネジで、スプリングの張りを調整し、浮きすぎたトレモロを元に戻すようにして下さい。
フローティングの高さの目安としては、通常のシンクロナイズドトレモロの場合ですと、最後尾が2mm程度浮いているのが標準でしょうか。
※私の場合3弦5フレットの音を1音半(C~D#)アームアップ出来るようにセットアップしています(2点支持のトレモロは1音)
2点支持のトレモロの場合、上記サドルと共に、赤で囲った部分にレンチ、またはドライバーを使いトレモロ自体の高さも調整します(必ず弦を緩めて行って下さい)。
チューニングが合った状態で、ボディーと平行になる感じがベストでしょう。
フローティングの有無による音の違い
シンクロナイズドトレモロやフロイドローズなどのトレモロユニットの後方を浮かすか浮かさないかは完全に好みですが、ストラトキャスターらしいトレモロスプリングの鳴りを活かしたエアー感のある音を求めるなら浮かすフローティング設定をおすすめします。
フローティング派の代表はジェフ・ベック。
ストラトキャスターを完璧に使いこなしています。イングヴェイ・マルムスティーンもフローティング派ですね。
ノンフローティング派(ベタ付け)で有名なのは、エリック・クラプトン、エドワード・ヴァン・ヘイレンなどで、サウンドはフローティング設定に比べ、エアー感のないカチッとした音になります。
フローティング設定のメリットは、音以外ではアームアップ出来るので表現の幅が広がる事。デメリットとしてはブリッジミュート時に強く押さえてしまうと音が不安定になったり、チョーキング時に他の弦のピッチも下がってしまうことです。
どちらも一長一短だと思いますのでプレイスタイルに応じて選択してください。
テレキャスタータイプ
テレキャスターはストラトキャスターとほぼ同じです。赤で囲った部分(サドル)の穴(各弦2箇所)に六角レンチを入れ弦高を調整します。その他ジャガーやジャズマスターなどフェンダーギターの弦高調整はほぼ同じやり方で行うことが出来ます。
ギブソンタイプ
ギブソンタイプの場合は2箇所です。赤で囲った部分(6弦側と1弦側も)のサムナットを回して高さの調整をします。フェンダー系よりは楽に出来ますね。
弦高調整が終わったら、各フレット上でビビリが無いか、チョーキングをして音詰まりがないかチェックしましょう。
ネックが正常であるにも関わらず、音詰まり等の理由で弦高が下げらない場合、原因として考えられるのは、ギターの性能(これ以上下げられない)、フレットの高さが不揃い(フレット浮き)などが考えられます。一度楽器屋さんでチェックしてもらいましょう。
※ストラトキャスターなどのデタッチャブルネックの場合、ボディーとネックの間にシムを入れることで調整可能な場合があります。
オクターブ調整
オクターブ調整とは、ハイポジションでのピッチのズレを調整する作業です。試しに、12F以降で適当なコードを鳴らしてみて下さい。
チューニングを合わせているにも関わらず、ハイポジションで音がズレて聞こえたり、音が揺れて聞こえる場合はオクターブが合っていない可能性があります。
※オクターブ調整は、必ず新しい弦で行って下さい(安い弦はNG)。
※ヴィンテージタイプのテレキャスターなど、オクターブが完全に合わないモデルもあります。
オクターブの合いやすいテレキャスター用ブリッジはこちらから:
オクターブ調整は、何度も行う必要はありませんが、弦のゲージ(太さやブランド)を変えた時、弦高やトレモロの調整を行った時にはチェックしてみましょう。
まず、チューナーを用意し、しっかりチューニングを行います。
次に、各弦の12フレットを押さえた音(普段と同じ力で押弦して下さい)と、12フレット上のハーモニクス音をチューナーで比較し、下の写真を参考に、音が同じになるようにブリッジサドルを動かします。
ハーモニクスより実音が低い場合は 前(ネック側)へ サドルを移動します
ストラトキャスタータイプ
赤で囲った部分が+のネジになっているので、サドルを前後に動かします
ウィルキンソンブリッジ
青で囲った部分に六角レンチを入れ、サドルの固定を解除します。次に赤で囲った部分に六角レンチを入れ前後の調整をします。
ギブソンタイプ
赤で囲った部分のネジを回してサドルを前後に動かします
調整が終わると、大抵は上記のようなブリッジの位置になるはずです
✔オクターブチューニングの動画:
ネック/ブリッジ周りの調整は以上です。弦高は良いときの状態を数値化してメモしておくと、後々便利ですよ。
ギターのメンテナンスに必要な工具
いかがでしたでしょうか、ギターの調整は覚えてしまえば誰でも簡単に出来ます。ギターの弦高は好みがありますので楽器屋さんやリペア屋さんで行う調整が必ずしも最適とも限りません、自分で調整ができればギターを持ち込む手間もなくなりますし、メンテナンス費用もかかりません。
最後にギターの調整やメンテナンスに欠かせないメンテナンス・キットや工具を紹介しておきますのでこちらからご覧ください。
ボディー磨きのポリッシュやクリーニングクロス、レモンオイルなどのギターのメンテナンスグッズはこちらから。
※それでも良く分からないという方は、無理せず楽器屋さんでチェックしてもらってください。
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