ST62の最終調整とレビュー – ストラトをとことんいじる

ストラトキャスターの改造と調整もいよいよ最終仕上げです。ギターを弾く上でいちばん大切な、ネックの調整/弦高調整とピックアップの高さ調整の手順を解説します。
さらに今回の改造で音がどう変わったのかのレビューも。
ネック調整 弦高調整
サーキットの組み込みも終わったので、いよいよ弦張りです。弦を張り終えてみると・・・ネックの反りはないのですが、弦高が高いようです(これ以上下げられない)。
原因は、ネックの角度不足。ボディーとネックの部分にシムが挟まっている写真を見せたと思いますが、それでも下がりません。
シムといっても通常は薄紙一枚位なのですがもっと必要なのかしら。もしかしたらボディーとネックは別々のギターだったのかもしれません。
ちなみにエドワード・ヴァン・ヘイレンのフランケンのネックにもピックシムが入っています。
ザ・ギターマン特集●EVHギターズより~
それを見習って、私のもピックを1枚!!
ちょうど良い高さになりました。よく、シムを入れると音が悪くなるとか言われますが、巷で言われるほど悪くはなりません。若干シャリシャリ感が強くなるかな程度で、特に問題はないです。
ま、シムなんてものは入れないにこしたことないですが、弾きにくいなら積極的に入れるべきだと思います。適当な厚紙や、ピックシムに抵抗のある方は、こんなのが良いかも。
Stewmacから発売のメイプル材を使った木製ネックシムです。
Shaped Neck Shims for Guitar:
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これなら音質変化も最小限ですね。
さて気を取り直して、再び弦を張り弦高調整、フローティング調整、オクターブ調整を実施します。
※トラスロッドがネックエンドにあるヴィンテージタイプのストラトキャスター/テレキャスターの場合、カポをローフレットに装着することで弦が外れることなく、ネックの取り外しが出来るのでおすすめです。
以下は、弦を押さえない状態で、12フレット上にスケールを当て、弦の下側とフレットまでを計った数値。
1弦 1.3mm
2弦 1.6mm
3弦 1.6mm
4弦 1.7mm
5弦 1.8mm
6弦 2.0mm
1弦側;
6弦側;
ここまで追い込むことが出来ました。
ピックアップの高さ調整
ピックアップの調整でも書いていますが、ピックアップには、
ピックアップを弦に近づけると
長所;音が大きくなり、歪みを得やすく、弾きやすくなる
短所;平坦な音になりやすく、ピッキングの強弱を表現しにくくなる
ピックアップを弦から遠ざけると
長所;ピッキングのニュアンスが生きる
短所;音がやや小さくなる。歪みにくく、弾きにくい
という基本ルールがあります。
しかしストラトキャスターなどのシングルコイルピックアップのほとんどは、ポールピース(中心にある丸い金属の棒のこと)自体が磁石になっているタイプがほとんどですので(このギターに付いていたピックアップは違うようですが)、ピックアップを弦に近づけ過ぎると、弦振動が磁力の影響で妨げられてしまいます(ストリングプル)。
ヴィンテージタイプのピックアップを歪ませて使いたい場合、ピックアップは離し気味で、アンプやエフェクターで歪ませた方がピッキングのニュアンスが生き、シングルコイルらしい歯切れのある音が得られるのではと思います。
このギターに新たに搭載したピックアップも、ヴィンテージ系なので、離し気味でセッティングしたいと思います。といっても、ピックアップの高さなんてものは(近づけすぎは問題ですが)完全に好みです。リアをよく使う人はリアから音を決めますし、フロントを使う人はフロントから音を作って行きます。
私の場合、特にストラトはフロントの音が命だと思っていますので、フロントから調整し、全てのピックアップのバランスをとって行きます。
ピックアップの音量は、クリーン、歪みの両方で行って下さい。
理想はいつも使う音量で・・・。
ピックアップの高さメモ:
押弦しない状態でピックアップの真上(弦の下側)を測定しました。
- フロントピックアップ;1弦 4.4mm, 6弦 5.4mm
- センターピックアップ;1弦 4.5mm, 6弦 5.0mm
- リアピックアップ;1弦 3.2mm, 6弦 3.5mm
ピックアップは磁力も違うので設定は千差万別ですが、このように良いときの状態を数値化してメモしておくと、後々便利です。
音には関係ないですが、ついでに交換したいものはこちら。
ピックガード
60年代のストラトキャスターにこだわるなら、ピックガードやコントロール・ノブ等にも気を使いたいところです。ST62のピックガードは、11点止め、白/黒/白の3ピースが標準です。当然そのままでもかまわないのですが、特に60年代前半のヴィンテージは経年変化により、下の黒が透けてミントグリーンに見えるものが多くあります。
60年代前半のヴィンテージ風に仕上げるならミントグリーンのピックガードに交換したいところです。
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コントロール・ノブ / ピックアップカバー
こちらも白でかまわないのですが、経年変化を再現した、ミントやアイボリーが人気です。
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※ジャパンとUSAでは、ミリ・インチに違いがあります。
ストラップピン交換
ついでにストラップピンも交換しましょう。おすすめは SCHALLER のSECURITY LOCK。
交換前;
交換後;
これはとにかく丈夫で、一度付けたらゆるみも一切起こりません!ストラップロックを統一しておけば、ストラップも流用できるのでおすすめです。
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※SECURITY LOCKがバージョンアップし、新しくS-Locksとなりました。
完成!
ジャンク品として安く手に入れた、フェンダー・ジャパンのストラトキャスター「 ST62」の改造が終了しました!
ストラトキャスターの改造と調整の結果
ギターそのものの鳴りに関しては、鉄ブロックの影響が最も大きいと思いますが、とにかく音が大きく、良く鳴るギターに仕上がりました。
ローズ指盤のギター特有の、無骨で、金属的な音がボディーからネック全体にかけてとにかく良く響くというのでしょうか、フェンダー・ジャパンでもここまで良くなるとは、ちょっと驚きです!!
それと、ピックシムで角度が付いたせいでしょうか?気持ち弦の張り(テンション感)が強くなり、大きなビブラートをかけやすくなった気がします。
さて、アンプを繋ぎ、実際に音を出しての感想ですが、低出力のヴィンテージ系ピックアップの影響が大きいのでしょう、非常にクリアでパンチのある音に仕上がっています。
クリーン/クランチ系サウンドで、パーカッシブに弾くととても気持ちの良い音がします。
太い音が欲しくなればターボブレンダーでフロントの音を任意の量をミックスすることも出来るので色々な音を出すことが出来、使い勝手もなかなかだと思います👍
このギターを持つ限り、チューンナップの旅はまだまだ続きます。
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