シンクロナイズドトレモロ調整完全ガイド:弦の張り方からグリス塗布まで

簡単なシンクロナイズドトレモロの調整

2018年4月12日ギターの調整

ギターのトーンを最大限に引き出すためには、ギターの細かな調整が重要です。特にストラトキャスターの「シンクロナイズドトレモロの調整」は、音質やチューニングの安定に大きな影響を与えます。

本記事では、シンクロナイズドトレモロの調整方法から、弦の張り方、おすすめのグリスの紹介など細かく解説しています。ストラトキャスターのチューニングが狂うという方は必見の内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

簡単なシンクロナイズドトレモロの調整


シンクロナイズドトレモロの調整

私は昔ながらの シンクロナイズドトレモロ が大好きです。シンクロナイズドトレモロ独自のガツンとしたサウンドは、他のトレモロユニットではなかなか得られません。

たとえば、ナイフエッジ、2点支持のトレモロは、スムーズな稼働でチューニングの狂いには強いですが、弦振動がボディーに伝わりにくく、無表情、無個性な音になりがちです。

また、フローティングさせると、強くピッキングするとクリケットしやすい(音が震えてしまう)のも好きではありません。

フロイドローズ/ Floyd Roseトレモロは、弦をユニットとナット部でロックでき、ファインチューナーもあって便利ですが、ユニットが大きく、音がブライトになりすぎてしまいます。

シンクロナイズドトレモロの調整方法

そこで、シンクロナイズドトレモロの調整です。

シンクロナイズドトレモロはチューニングが狂うから嫌いという方もいると思いますが、ほんの少し調整するだけで、チューニングは安定し狂いにくくなります。

 

シンクロナイズドトレモロ・マウントビスの調整

まず注目してほしいのは、シンクロナイズドトレモロを固定している6本のマウントビスです。ここを適当に処理してしまうと、ユニットがスムーズに稼働しません。

こんなところ買ってから一度もイジってないし・・・という方もいると思いますが、ギターは振動するものですから意外と緩んだりしているものです。

ここの6本のビスは、トレモロの固定と同時に、トレモロの支点の役割もありますので非常に重要です。

弦交換のついでにでも見直してみましょう。

あたりまえですが、ここは、トレモロが浮き上がってしまうほど閉めてしまうのはNGです。目安として、写真のようにコピー用紙1枚入るくらいの隙間をあけるのがベストです。

FENDER JAPAN ST62-70?のトレモロ調整

できればトレモロのスプリングを外して、ユニットがストレスなくスムーズに動くかどうかのチェックもしてみましょう。
FENDER JAPAN ST62-70?のイナーシャブロック交換作業1

ネックの調整と、フローティング調整に関しては以下を参考にしてください。


わからない方はお店に持っていきましょう。

 

ギターによってはビス穴の加工精度が悪く、スムーズに動かない場合があります。

その場合、マウントビスの数を減らしてみると良いかもしれません。6本のうち、内側の2本を外して4本にしてみるとかしてみてはどうでしょう?

トレモロユニットがスムーズに動くようになれば調整完了です。

チューニングとは直接関係ありませんが、アームのガタツキが気になる方は、このアームテンション・スプリングが便利。

ARM TENSION SPRING (アームテンション・スプリング)の取り付け

このスプリングをアームホールに入れる事で、アームのガタつきを押さえ、程よい良い箇所でアームを固定出来るので、非常に使いやすくなります。

アームテンションスプリングは、シンクロナイズドトレモロのバーのガタツキやゆるみを軽減させるパーツです。

アームを外してホールにスプリングを入れるだけ。

 

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グリスの塗布/溝の形成

調整が終わったら、弦を張る前にグリースを塗布しましょう。一番効果があるのはナット部分。

それ以外は特に必要ないと思いますが、気になる方は弦の乗る部分、例えばペグポストや、ストリングガイド、ブリッジ等にも薄く塗っておくと良いでしょう。

グリスを塗るべき部分
ブリッジにもグリスを薄く塗布

おすすめのグリス・潤滑剤。

BIG BENDS Nut Sauce ( ナットソース )

BIGBENDS / Nut Sauce

BIG BENDS Nut Sauceは、粘性のある素材(主原料:グラファイト&テフロン)を使用した、チューニング安定性を高めるための定番メンテナンスアイテムです。

ナットやサドル、ストリングガイドなど、弦が接触する部分に塗布することで、滑りを良くし、弦の引っかかりやチューニングの狂いを防ぎます。特にアーミングやチョーキングを多用するプレイヤーにおすすめで、少量で高い効果を発揮します。

 

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FREEDOM SP-P-08

FREEDOM / SP-P-08 FREEDOM / SP-P-08の中

FREEDOM SP-P-08も便利なギター・グリース(潤滑剤)です。ナットやサドル等の弦が触れる部分に塗布することでチューニングが安定します。

ハンド・クリームのような質感です。

 

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弦とナットの溝が合っていない場合は、グリースだけでは残念ながら無理です。ご使用の弦に合わせた適切な溝切りを行いましょう。

ナット用ヤスリ / TL-NF10

ナット用ヤスリ / TL-NF10

ナット用ヤスリは、ナットの調整や交換時の溝切りに使用する工具です。ブリッジの溝切りにも使えます。1

  • 10本セット:010、013、016、024、028、032、036、042、046、056に対応。
  • 11本セット:010、013、016、024、028、032、036、042、046、050、056

ナット高の目安は、エレクトリック・ギター・メカニズムによると、2フレットを押さえた状態で、1フレットと弦とのすき間が僅かに開いているくらいとのこと。

削りすぎないように注意しましょう。

 

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TL-NF11:
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弦の張り方を見直してみる

ユニットの調整と、ナットの調整で、チューニングの狂いはほぼ解消されると思いますが、弦の張り方に問題はありませんか?チューニングの狂いの原因は、ユニットと、ナット以外で考えられるのは、ペグだと思います。

ペグに弦を巻きすぎてしまうと、アーミングの際に起こる弦のたわみでチューニングが狂ってしまいます。

通常のストラトキャスターのペグ

通常のストラトキャスターのペグ

マグナムロックなどのロック式のペグが有効なのは、ポストで弦をロックし、ポストに弦を巻きつけることがないためアームを使用してもチューニングが狂いにくいのです。

マグナムロックを装着したストラトキャスター


チューニングをあわせた状態でもポストに弦を1周も巻きつけていません

マグナムロックなどのロック式ペグは非常に便利ですが、ロック式のペグを使用しなくてもチューニングの狂いは防ぐことが出来ます。

以下のように、弦を弦で挟む方法を試してみると、マグナムロック同様、弦がたわむ場所がなくなるので、チューニングの狂いはほぼなくなります。

チューニングの狂わない簡単なギターの弦の張り方

まずはじめに弦をポストに入れます。
チューニングの狂わないギターの弦の張り方

弦をたわませず、引っ張った状態で折り返します(ここ重要)。
弦をたわませず、引っ張った状態で折り返します

弦の下を通し、クルッと上へ
弦の下を通し、クルッと上へ

そのままペグを回し、数回巻き上げるだけ。
そのままペグを回し、巻き上げるだけ

これで弦がポスト部分でロックされます。

詳しくは:

まとめ

シンクロナイズドトレモロのチューニングの狂いは、ユニットの調整、潤滑剤(グリース)、弦の張り方で解消できます。是非お試しを。

それでもまだ狂う、、、という方はロック式のベグをおすすめします。

ギターの調整

Posted by Tsune