缶スプレーで簡単にできる!エレキギター塗装ガイド:基本から仕上げまでのステップ

ギターの塗装:エレキギターを市販のラッカースプレーで簡単に塗り直す方法

2019年3月23日ギターの塗装

エレキギターの塗装は、見た目を美しく保つだけでなく、サウンドにも大きな影響を与える重要な工程です。特に薄い塗装を施すことで、ギターの音の鳴りを最大限に引き出すことができます。

本記事では、ギターの塗装剥がしから、市販の缶スプレーを使った塗装方法までを詳しく解説しています。

ギターのリフィニッシュ ( 再塗装 ) に挑戦!!


用意するもの

ギターのリフィニッシュで使ったもの

関連リンク
使用工具一覧はこちらから:
ギターのリフィニッシュで使用したもの一覧

※ページ途中や最後からでも飛びますので大丈夫です。


塗装の剥離

塗装の厚さが前々から気になっていたフェンダーのアメリカンスタンダードのテレキャスターですが、音は悪い訳ではないですが、使っているうちに何処か納得いかない面が出てきました。塗装を剥がして薄く仕上げれば音は良くなるのでしょうか。実験してみましょう!

まずは塗装の剥離から。

アイロンで塗装面を温める

ギターのリフィニッシュ/再塗装で最も大変なのは塗装剥がしです。ヤスリを使ってゴシゴシ剥がす作業は、体力的にも木くずが舞うので部屋も汚れますしとても大変です。

しかし、塗装はアイロンやドライヤーで熱することで簡単に剥がすことが出来るのです。

塗装の種類と剥がし方

ギターの塗装は大きく分けて、ポリ系(ポリエステル/ポリウレタン)と、ラッカー系がありますが、共にアイロンやドライヤーで暖める/熱することで簡単に剥がすことが出来ます。

パーツ類を外し、塗面にアイロンを乗せて熱するだけです。

テレキャス(アメスタ)作業前

このギターの場合、塗面にアイロンを置いて約2分程で塗装面がふにゃふにゃになり、ゴムのようになるのでスクレーバーで簡単に剥がせました。

アイロンで暖め塗装を剥がして行きます

それにしても分厚い塗装です。いくら当時と木材の質が違うとはいえ、これではヴィンテージと同じ音するはずありませんね。もちろんこの厚みでは何十年使おうがヴィンテージギターのような風貌(レリック)にもなりません。

塗装剥がしにはスクレーパーを使いますが、スクレーパーの刃先は鋭利なものの方が楽ですが、木地を傷めてしまうリスクがありますので慎重に行いましょう。

サイドはアイロンが乗らないのでドライヤーで熱します。

ボディーサイドはドライヤーで剥がします

塗装の下から出てきたアメ色の物体の正体は、サンディングシーラーです。

古いサンディングシーラーも削り取ります

サンディングシーラーとは、下地を平らにし塗料ノリをよくするためのものですが、それにしてもサンディングシーラーも厚塗りしすぎです。これもアイロンで暖めることで簡単に削り取ることができます。

 

塗装剥がし完了!!

綺麗に剥がし終わりました

綺麗な1ピースだなぁと、思いきや。。。。。

塗装を剥がして分かったアメリカンスタンダード・テレキャスターの真実

ご存じの方もいると思いますが、フェンダーのアメリカンスタンダードや、レギュラーのエリック・クラプトン・モデル等の一部のギターはボディートップとバックに継ぎ目を隠すための薄い板を貼っています

トップは見事な1ピース!!と、思いきや、ボディーサイドを見てみると・・・

アメスタのボディーは5ピース?

まさかの5ピースでした😱

実は5ピースボディーだったアメスタ

3ピース程度のギターはよくありますが、まさか5ピースとは、、やってくれますねフェンダー!!

フェンダーでもこういうことやるんですね!塗りつぶしのアメスタは要注意です!!と、言っても多ピースだからといって音が悪い訳ではないと思いますが。

 

さて、次は塗装工程に入ります。

エレキギターの塗装工程

塗装剥がしが終わったっら、次は緊張の塗装編。色は、同じクリームというかアイボリーにします。塗装はホームセンターにで普通に変える缶スプレーを使います。

塗装の工程は以下の通りです。

塗装の工程

  1. ウッドシーラー
  2. サンディングシーラー
  3. 着色(アンダーコート~トップコート)
  4. 水ヤスリによる研磨(水研ぎ)
  5. コンパウンドによる仕上げ

ウッドシーラー

木部用プライマー

ウッドシーラーとは、下地を整え、塗料の吸い込みを抑えるものです。これを省くと木が塗料を吸ってしまい、何時までたっても塗装作業が終わりません。

ウッドシーラーは、スプレータイプなので、軽く2~3回吹き付けます。

※アッシュなど塗装面がデコボコしているものは、この行程以前に”との粉”で目止めを行うと良いでしょう。との粉とは、アッシュやマホガニーなど大きな導管を埋める為に使うもので、粉を水に溶いて使います。深くない導管なら以下のサンディングシーラーで代用可能だと思います。

ウッドシーラーを吹きます

サンディングシーラー

サンディングシーラー

サンディングシーラーとは、下地を平らにし塗料ノリをよくするためのものです。多少の導管ならこれでも埋められます。ボディーにちょっとした凹があればサンディングシーラーで埋めてしまいましょう。

サンディングシーラーを塗ります

乾燥後、粗めのヤスリで塗装面を平坦にします。

※この段階ではまだ磨き上げる必要はありません。


着色(アンダーコート~トップコート)

埃に気をつけ着色

塗装面が平らになったら、いよいよ着色です!通常は色ノリを良くする為にアンダーコートといって白系の塗料を先に塗るらしいのですが、今回はパス。

※ギターによってはアンダーコートをしてあるものとそうででないものがあります。木目の見えない塗りつぶしのカラフルなものにはアンダーコートをしたほうがきれいに発色するようです。

アンダーコートの例
アンダーコートの例:白い塗料が見えます
調べてみよう

塗装の場所
塗装の場所はお風呂場を養生し行いました。一発目は軽く、二発目以降は液ダレに気をつけまんべんなく一気に塗り、それを3~4度繰り返します。

埃が付着しても失敗ではありませんので慌てないこと。乾燥を待ち、1000番程度のペーパーで軽く削り、再塗装すれば綺麗になります

缶スプレーは、速乾性と塗膜の硬さでアスペン ラッカースプレーをおすすめします。


トップコート

テレキャスボディー 着色完了!

ベースとなる色の塗装が終わったら、乾燥を待ち(1~2日)、次はトップコート(クリアの吹き付け)です。

トップコートの前は、特に磨き上げる必要はなく、#1000のペーパーで塗装の粉っぽい部分や塗装中に出来た凹凸を慣らす程度で問題ありません。

ぶつけて出来たキズもありますが、これも味ってことで、そのままスルーします。

移動中に付けた傷

こちらも埃に気をつけつつ、ボディに艶(つや)が乗るまで行いました。クリアーのスプレー缶は3缶弱使用しました。3缶といっても、そのほとんどがボディ吹きつけ以外の捨て拭き なので、意外と薄く仕上がっています。

 

クリア吹きつけ完了!

この状態で2~3日(出来れば一週間ほど)待ちます。一見艷やかですが、塗面はまだデコボコの状態です。


水ヤスリによる研磨(水研ぎ)

水ヤスリで磨きます

乾燥を待って、#1000~#3000の程度のペーパーで水研ぎ(石けん水を使った方が良いらしい)をし塗面を平らにします(木地が出てしまわないように気をつけましょう特にボディーの角は要注意)。

ペーパーホルダー(角材等でも可)を使うと楽です。


コンパウンドによる仕上げ

仕上げにコンパウンドで磨きます

水研ぎが終わったら、さらに細かいコンパウンドを使い、柔らかい布等で磨き上げます。車用のコンパウンドで問題ないと思います。

手磨きはかなり根気が要るので、綺麗に仕上げるなら 電動ポリッシャーは必須です!

つや出しに使う便利なもの

写真のように電動ドリルに付けるものも販売されていますので購入しましょう。スポンジやタオル素材のものに水とコンパウンドを付けて丹念に磨き上げます。

ポリッシャーは値が張りますが、普段のギターのお手入れはもちろん、車や床磨きなどにも使えますので買って損はないと思います。


ネックの塗装

テレキャスのネックです。ペーパーで少しだけ削りました
ボディ程ではないですが、このギターはネックもなかなかの厚みです。

今回は塗装はしませんでしたが、ついでなので#600のペーパーで軽く磨いて、#1000~#2000番で整える程度は行いました。

テレキャスのネック裏 ヤスリを少々
裏も同様です。


塗装完了

よく見ると粗も目立ちますが、ここまで磨き上げることが出来ました。

ツヤツヤの塗面です

ここまで艶が出れば充分です。

オモチャのギターが映り込んでいます

コンパウンドで艶をここまで出すことが出来ました

▼作業中に付いた傷。しかし元の塗装と比べるとかなり薄いのが分かると思います。

作業中に付いた傷

ここで緊張の塗装は終了!ただ、塗料の臭いが残っている(乾いていない)ので、組み込みは少し待った方が良さそうです。

パーツの組み込み

塗装完了から1週間経ちました。アッセンブリーの組み込みを行います。

アッセンブリー組み込み

ピックアップのバランス調整も終わり、ピックガードを装着しました。

リフィニッシュ(組み込み)完了!!

リフィニッシュ(組み込み)完了!!裏

ギターの塗装まとめ

細かく見れば粗も目立ちますが、素人が缶スプレーではじめてやったわりにはまずまずの出来だと思います。

サウンドの方は、今まで極厚塗装と比べると、塗装を薄くしたからなのか、ラッカーにしたからなのかは分かりませんが、弦振動がボディーに伝わるようになり、特にシャリ~ンとした金属的な響きがよりテレキャスターっぽくなった感じです。

作業前は、パワー感こそあったものの、特に1~3弦の音がスポイルされ綺麗に出きっていない感じだったのが改善されたのは嬉しいですね!!

塗装について色々調べて見ると、ラッカーの完全硬化は半年くらいかかるそうなので、それまでは傷に気をつけて大切に扱いたいと思います>まだ塗料のシンナー臭が結構します。

追記

リフィニッシュ完了から一ヶ月、塗料の臭いも消え、音の方もようやく乾いたパキパキの音がするようになってきましたが、塗料の薄さが原因なのか、塗装の失敗なのか?ちょっとぶつけただけで簡単に塗装が剥がれてしまいます・・・何故だろう、レリックも嫌いじゃないのでそのままで全く問題ないのですが、ちょっと気になります。

テレキャスターのリフィニッシュその後1

テレキャスターのリフィニッシュその後2

クリーム/アイボリーの塗装剥がれについての考察
下地のサンディングシーラーはもっと荒目のほうが塗装の食いつきが良かったのかもしれません。それと仕上げのクリアーですね。クリアーはつや出しの他に、下に塗ったクリーム/アイボリーの保護の役割もあるのでもっと厚く塗ったほうが良かったのかも🤔

今回は、塗装の薄さをテーマに行ったので、次回はもっと厚塗りしてもよいのかなと思います。

もしこのページを見てギターの塗装をやってみようと思った方はこのあたりも頭に入れて行ってみてください。上手くいくように祈っています。

もっと簡単なエレキギターの塗装

今回は最も一般的なギターの塗装方法を行いましたが、さらに簡単な方法があります。それは、下地にスプレー缶を使うのではなく、着色料/ステインを使う方法です。

和信 ポアーステイン

ステインは刷毛で着色するので、スプレーを吹く塗装の工程を1つ減らすことが出来、仕上げに吹くクリアーは文字通り透明な塗料なので場所も汚しませんし、DIYユーザーにはおすすめの方法です。

ステインは水で薄めることも、ステイン同士を混ぜることも出来ますので、以下のような木目を生かした塗装も可能です。もし剥がした木目が綺麗ならステインを使った着色のほうが良いかもしれません。

ステインは水で薄めることも出来るので以下のような木目を生かした塗装も可能!

ステインは刷毛で着色するので、スプレーを吹く塗装の工程を1つ減らすことが出来、仕上げに吹くクリアーは文字通り透明な塗料なので場所を汚すこともないのでDIYユーザーにはおすすめ!

👇結構綺麗にできるでしょ、この方法なら下地の塗装が剥がれて木部が見えることもありませんのでおすすめです。

詳しくはこちらから

ギター組み立てキットで塗装にチャレンジ

用具さえ揃えたら塗装は素人でも意外と簡単に出来ます。このようなギター組み立てキットも販売されているので、自分好みのカラーに仕上げるのも楽しいと思います。

ギターキットは、ストラトキャスターや、レスポール、テレキャスター、SG、セミアコなどがラインナップされています。

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Posted by Tsune