執筆・監修: Tsune

【初心者向け】エレキギターの塗装をステイン&クリアで簡単キレイに仕上げる方法

テレキャスターの黒いピックガード ギターの塗装

エレキギターの塗装第二弾!!今回は下地をステイン(着色料)で行ってみました。ステインを使えばギターの塗装がさらに楽になります(スプレー缶は仕上げのクリアだけですので場所を汚しません)。


はじめに:ステインを使えばギターの塗装はとても簡単!

エレキギターのリフィニッシュ(再塗装)に挑戦したいけど、「難しそう」「塗装ブースがない」とお悩みの方におすすめなのが、ステインを使った木地着色です。

ステインは着色剤の一種で、刷毛で木材に色を染み込ませることができるため、ギターの美しい木目をそのまま活かしつつ、好きな色に仕上げられます。

今回の塗装では、フェンダーのテレキャスターで有名なスワンプアッシュ材(フェンダーライセンスのMIGHTY MITE/マイティーマイト製)を使い、和信ペイントの水性ポアーステインを数色混ぜてナチュラルなクリーム色を作成してみました。

塗装後は仕上げにクリアラッカーを吹くだけなので、スプレー塗装の手間や準備がグッと減り、DIY初心者の方でも室内で気軽に挑戦できますよ。

前回の塗装はこちら:

エレキギターを自分で再塗装する方法|剥がし~缶スプレーによる塗装、仕上げまで!
塗装初心者がエレキギターの再塗装にDIYで挑戦!塗装剥がしから市販ラッカー缶スプレーによる再塗装、研磨、仕上げまで、写真付きで詳しく解説。失敗談もリアルに紹介します。

MIGHTY MITE/マイティーマイトとは、フェンダーからライセンスを受けているリプレイスメントパーツメーカーの老舗で、ナイト・レンジャーのブラッドギルスが愛用するメインの赤いフェンダーストラトキャスターのボディーがMIGHTY MITE製です。

ブラッドギルス愛用のストラトキャスターはマイティーマイト製

購入したボディー材は、無塗装のスワンプアッシュの3ピース。

Mighty Mite製テレキャスター・ボディー(スワンプアッシュ3P)

スワンプアッシュは主に1950年代のテレキャスターに使用されたボディー材で、後に使われるようになるアルダー材のテレキャスターに比べ、パキパキとした高域特性の優れたサウンドが特徴。

ピックアップのリード線を通す穴がむき出しではないので見た目ブロードキャスター仕様。ピックガード無しでもいけますね。

ブリッジは手持ちのジョーバーデン製のブリッジ ( Joe Barden Tele Bridge )を使用し、その他ネックや、ピックアップ、アッセンブリーは流用します。

Joe Barden Tele Bridge

作業前にネックをボディーに取り付けてみると、さすがフェンダーからのライセンスを受けているというというだけありますね。ネックは隙間なくピッタリです!

Mighty Mite製テレキャスター・ボディーにアメスタのネックを取り付けてみました

Mighty Mite製テレキャスター・ボディーにアメスタのネックを取り付けてみました

塗装の前に、ブリッジも墨出しして穴を空けておきたいと思います。

ズレなくまっすぐに穴を開けるには以下のようなドリルガイドがあると便利です。


塗装工程

これから塗装に入りますが、3ピースながら繋ぎの見えにくい綺麗な杢目なので、今回はこれを生かしたいと思います。

色は50年代のテレキャスターをイメージして、薄い黄色かクリーム色(ホワイトブロンド)のナチュラルな感じが良いのだけど、、、、市販の缶スプレーは薄めることが出来ないので薄く塗ること(シースルー塗装)は恐らく不可能。

 

和信ペイントの水性ポアーステインによる木地着色

今回は和信ペイントの水性ポアーステイン(白+イエロー+オレンジ)を使って生地着色(木地着色)に挑戦してみようかと思います。

水性ポアーステインとは、水性なので水で薄めることが出来、「との粉」と混ぜることで、着色と目止めも同時に行えるという便利な着色剤です。

カラーは11色ですが、混ぜ合わせることでさらに豊富なカラーを作り出すことができます

ギター1本位なら小さなもの(130ml)で問題ないでしょう。

 

今回購入したステインは、ホワイトとゴールデンイエロー、サンオレンジの3色です。これを混ぜあわせ、クリームというかアイボリー風の色を作り出せればと思います。

こんな感じかな。

ステインは水で薄めることも出来るので以下のような木目を生かした塗装も可能!

ステインは刷毛で着色するので、スプレーを吹く塗装の工程を1つ減らすことが出来、仕上げに吹くクリアーは文字通り透明な塗料なので場所を汚すこともないのでDIYユーザーにはおすすめ!

刷毛を使って塗ったあと、布で刷り込みます。水で少し薄めましたが、ムラにならずにとっても綺麗に仕上がりました。

木目も消えずにいい感じですね。

 

仕上がりは木目がうっすらと見える以下の様なホワイトブロンドをイメージしていたのですが・・・

FENDER TELECASTER BOOK(P.10)~より
FENDER TELECASTER BOOK(P.10)~より

ちょっと黄色が強すぎたようですが悪くないです。
Mighty Mite製ボディーに色付け

クリアラッカー

乾燥後、水ヤスリで塗装面を軽く慣らし、いつものようにウッドシーラー+サンディングシーラーで下地を整え、仕上げにクリアラッカーを吹きます。

ウッドシーラー/との粉/サンディングシーラー/ラッカースプレー

ウッドシーラー:
木部用プライマー
ウッドシーラーとは下地を整え、塗料の吸い込みを抑えるもの。アッシュなど塗装面がデコボコしているものは、この行程以前にとの粉で目止めを行う必要があります。


との粉:
との粉


サンディングシーラー:
サンディングシーラー
サンディングシーラーとは下地を平らにし塗料ノリをよくするもの。


➡ ラッカースプレー(缶):
ニトロセルロースラッカー

仕上げにクリアラッカーを数度吹いて塗装は終了。塗料は昔ながらのニトロセルロースラッカーで、速乾性と塗膜の硬さではアスペン ラッカースプレーをおすすめします。


仕上げ:水研ぎ&コンパウンド

一週間ほど置いて、水ヤスリ(1000、1500)+コンパウンドで仕上げに入ります。

 

クリアを吹いたらいい感じの色になりました(^^)。

トップコート(クリア)が乾燥した所

使ったコンパウンドは今回4種類

今回使ったコンパウンドは、すべて車用。これを電動ドリルに取り付けたスポンジで磨き上げます。

➡ コンパウンド
コンパウンド
最終仕上げ用。

ウエスやポリッシャーに付けて磨き上げます。キレイに仕上げるにはポリッシャーは必須です。


➡ 充電ドリル/電動ポリッシャー
電動ポリッシャー
充電ドリル

➡ ポリッシャーセット
ポリッシャーセット

電気ドリルでも代用できます。穴あけはもちろん、先端をポリッシャーに変えれば研磨やボディー磨きにも利用できます。速度調整できる無段変速タイプが良いでしょう。


50年代後半のホワイト・ブロンドを目指したのですが、結果50年代初期のバタースコッチのような色になってしまいましたが、悪い色ではないと思います。

ホワイト・ブロンドを目指したのですが、結果バター・スコッチのような色に・・・でも悪くないと思います

ストリングブッシュはドリルで穴を広げ、タイトボンドで接着します。

➡ タイトボンド
タイトボンド
フランクリン・タイトボンドは、ギター製作の現場で多く使われる木工用ボンドです。

ピックガードの装着

ピックガードは今回二種類を用意したのですが、この色なら白より黒のピックガードが合いそうです。

テレキャスターのピックガードは2枚用意しました

テレキャスターのピックガード(黒)

テレキャスターのピックガード(白)

テレキャスターは、ピックアップなどピックガード・マウントではないので、気分に応じて気楽に交換していこうと思います。

22フレット仕様のテレキャスターのピックガードをカット
つば出し22フレットのテレキャスターはピックガードが簡単に外せないのでカットしてみました。

ネック裏の塗装

前回、いい加減にやったネック裏の塗装を剥がし、オイルフィニッシュに挑戦です。

今回使用するのは、Xotic Oil Gel(エキゾティック・オイル・ジェル)です 。

Xotic Oil Gel(エキゾティック・オイル・ジェル)は、オイルフィニッシュ用の全く新しい塗料です。従来のオイルですと、木に浸透はしますが表面に膜は張れませんでした。Xotic Oil Gelはオイル自体が固まるので数回塗り付ければ塗膜ができ、普通の塗装として使うことが出来ます。

スプレー缶を使わずに済むので自宅などDIY派にもおすすめです。

➡ Xotic Oil Gel
Xotic Oil Gel

元の塗装ヤスリで剥がし、Xotic Oil Gelを布で刷り込みます。乾燥後、3度程重ね塗りを行い磨いて完了です。

Xotic Oil Gelを使いネック裏の再塗装

Xotic Oil Gelを布で刷り込みました

普通に塗装するより簡単でした。量が少ないのでなんとも言えませんが、ボディーもこれでいけるかもしれません。

こちらもステインで木地着色したほうが良かったかなとは思いますが、まぁそのうち馴染むでしょう。


テレキャスターのパーツ交換/取り付け ( 改造 )

サーキットの組み込み

ここまできたたらほとんどの部品は流用なので楽ちんです。まずはSONICのターボスイッチ

SONIC TURBO SWITCH TC

テレキャスター・ターボスイッチ

SONIC TURBO SWITCH TCとは、リアピックアップにフロントの音をスイッチ一つでシリーズ(ハムバッキング)接続出来るようにするテレキャスター用のキットです。

CTSなどのポットやセレクター、オイルコンデンサもセットになっているので、同時に音質UPも期待出来ます。

  • インチサイズ/ミリサイズ用があります。
  • コンデンサーなどの回路を切り離すことの出来るフルアップポットと組み合わせたモデルもあります。

見た目を変えずに音を太くする魔法のサーキット、SONIC TURBO SWITCH レビュー
FENDER JAPANなど、日本製のギターにはミリサイズ、USA製ギターにはインチサイズが良いでしょう。

ピックアップ交換

ピックアップはリンディーフレーリンのブロードキャスターを選択。

ンディーフレーリンのテレキャスター用PU、ブロードキャスター

50年代のブロードキャスター期のピックアップを再現したピックアップであると同時に、ヴィンテージ同様ポールピースがフラットなので指盤の平らな最近のモデルにもおすすめです。

テレキャスター用ピックアップを探す

ブリッジ

テレキャスター用ブリッジはJoe Barden ( ジョーバーデン )Tele Bridgeをチョイス。

Joe Barden Tele Bridge

トゥワンギーなトーンで人気のテレキャスターですが、ソリストにとっては、オクターブの合わないテレキャスターは問題で、多くのギタリストはブリッジサドルを交換しています。

ジョーバーデン製のブリッジ ( Joe Barden Tele Bridge )は、ヴィンテージ同様のスティール素材を使用した厚みのあるプレートに、オクターブが合いやすいように斜めになったブラス製3wayサドル、ピッキングの邪魔にならないように1弦側のエッジがカットされた、音質と使いやすさにこだわったブリッジです。

組み込み時にはブリッジ・アースも忘れてはなりません。

ブリッジの取り付け時にはブリッジ・アースも忘れてはなりません


ボリュームとトーンのノブ

テレキャスターのノブの種類には、トップに丸みを帯びたタイプのものと、スクエアなものがあります。

テレキャスターのノブ色々

50年代初期のテレキャスターは丸みを帯びたタイプが使われているので一応交換。ちなみに、スクエアなものに変わるのは50年代後半から。

丸みを帯びた50年代初期仕様のテレキャスター・ノブ

セレクターノブがストラト用なのは、キース・リチャーズのミカウバーを真似ています


テレキャスター用ジャックプレート

テレキャスター用ジャックプレート

意外とトラブルの起こりやすいテレキャスターのジャック。MONTREUX ( モントルー ) / Electrosocket Jack Plateは、アルミ削り出しによる軽量かつ頑丈な、テレキャスター用ジャックプレートです。

通常のジャックプレートは、ナットで挟み込みますが、本品はジャックのスクリューを利用し固定できるため、ガタつきもなく耐久性も抜群です。

MONTREUX ( モントルー ) / Electrosocket Jack Plate

 

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おすすめのジャック/ジャックプレート
ジャックは信頼のSWITCHCRAFT ( スイッチクラフト )、ジャックプレートは使い勝手の良いメタル製がおすすめです。

ペグをロトマチックからクルーソンに交換

機能上は問題ないのですが、見た目にこだわり、アメリカンスタンダード純正のロトマチック・ペグから、ヴィンテージライクなクルーソン・ペグに交換です。

MONTREUX Convertion Bushingを使いペグを交換してみました

交換前
交換前のロトマチック・ペグ(表)
トップにナットで固定されておりゴツいイメージのロトマチックペグ。

交換前のロトマチック・ペグ(裏)

交換後
交換後のクルーソン・ペグ(表)
クルーソンタイプのペグは、ナットがなくなり見た目がスッキリしました。

交換後のクルーソン・ペグ(裏)

それぞれのペグは径が違い取り付けできないのですが、コンバージョン・ブッシングがあれば取り付け可能です。見た目はクルーソン・タイプのほうが格好良いと思います。

完成!!!
Mighty Mite製テレキャスター・ボディーの組み込み完了


まとめ:木地着色はとにかく簡単だった

市販の缶スプレーで行うというコンセプトのもと行った、前回のテレキャスターのリフィニッシュよりは上手くいったと思います。とくに、杢目を生かしたシースルー塗装を行うために、ステインを使うということに気づけたのは良かったです!

ステイン塗装の利点

ステインで木地着色する一つの利点は、色付きの缶スプレーを使わずに済むという点。自宅で塗装をするのは結構大変で、養生をしっかりしないとお風呂場(私はいつもここでやります)はとんでもないことになりますが、ステインで木地の着色を済ませてしまえば、吹くのはクリアだけなので養生は適当でOK(ところどころテカテカになりますが)。

 

今回は、水性ポアーステインと同時に、アスペン(アサヒペン) ラッカースプレーというギターの塗装に非常に使いやすいラッカースプレーを見つけることが出来たのも大きな収穫です。

 

同じラッカーを謳った塗料でも、合成樹脂などの配合量による違いでしょうか、いつまでも乾かないものや、異様に弾力性のあるもの(車のバンパーの塗装には良さそうですが)など、使いにくい塗料が多い中、たまたま使ったアスペン(アサヒペン) ラッカースプレーは、乾きが早く、塗膜も硬いので非常に良かっです。


ボディー交換後のサウンドは

音の方は、(スワンプ)アッシュ+メイプル1Pのいかにも50’sなテレキャスター!!というサウンドが出るようになりました。

 

リアピックアップでローコードを弾いたときの『パーーーーーン』という元気で歯切れのよいトーンは以前のアメスタ(アルダーボディー)では決して出せなかった音です。

MIGHTY MITEのネック/ボディーの購入は

MIGHTY MITE製のネック取り付け(amazon)

MIGHTY MITEのネック/ボディーは、国内では流通しておらず、私はアメリカのアマゾンで購入しました(ヤフオクに出品されることはありますが、個人輸入でも結構お安く購入できます)。
➡ amazon.com Mighty Mite telecaster

アメリカのアマゾン以外では、eBayなどでも購入可能です。

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英語が苦手な方はセカイモンが輸入代行してくれます(手数料が別途かかります)。

セカイモン

フェンダーライセンスのALLPARTS製のネックとボディー

同じくフェンダーからライセンスを受けた「ALLPARTS」製のネックとボディーなら国内でも購入可能です!

「ALLPARTS」製のネックとボディーなら国内でも購入可能

サウンドハウスで見る

 

ギターキット

ギターの塗装にチャレンジしてみてみたい方は、こんなキットはいかがでしょう。ギターキットは、ストラトキャスターや、レスポール、テレキャスター、SG、セミアコなどがラインナップされています。

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コメント

  1. 松岡 昌弘 より:

    ステインで着色した後にXotic Oil Gelでネック、ボディを塗装したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。教えてくだされば幸いです。

    • Tsune より:

      松岡さん、私はネックの塗装しかやったこと無いのですが、Xotic Oil Gelは刷り込むだけで硬く薄い塗膜が出来るので、ボディーでもウッドシーラー+サンディングシーラーの工程は省くことが出来るかもしれませんね。ステインで着色した後にそのままXotic Oil Gelを何度か刷り込めば良いと思います。

      しかしアッシュやマホガニーなど塗装面がデコボコしている(導管のあるもの)ものは、ウッドシーラーや目止め作業としてサンディングシーラーの厚塗りが必要になるかと思うのでXotic Oil Gelだけでは厳しいかもしれません。

      こちらもお読みなるとよいかと。
      https://guitar-kaizou.net/rif.html

  2. 松岡 昌弘 より:

    バスウッドボディでやろうと思うので、目止めを飛ばしてみます。
    ありがとうございます。

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