執筆・監修: Tsune

Gibson LesPaul Reissue ’88年製 詳細

レスポールの改造

1988年製リイシュー・レスポールの詳細。

50~60年代前半のオリジナル・レスポールの再発を願うユーザーからの要望に応える形で1985年から始まり人気機種となったリイシュー・シリーズは、オリジナルの追究度という点においては後に発売されるカスタムショップ/ヒストリックコレクションと比べるどうしても見劣りしてしまいます。

どのような特徴/違いがあるのか見てみましょう。

Gibson LesPaul Reissue


はじめに

このギターは、1996年11月に購入した、はじめてのギブソンのレスポール・リイシューです。リイシューとは1950年代のレスポールをリアルに再現したレスポールモデルのことですが、後に発売される「カスタムショップ製」と比べると、ヴィンテージレスポールの再現度という点においては甘い部分もありますが、そのサウンドはなかなか素晴らしいです!!

購入当初はネックの太さとその重量(約4.2kgあります)に唖然としましたが、さすがにもう慣れてしまいました。

無骨なサウンドと、クランチ気味にセットアップしたときの色気のあるサウンドはレスポールならではで、特にピックアップセレクターをセンターにしたときのコンプレッション感はたまらなく素晴らしいです。

コンデンサ(キャパシタ)交換や、テールピース交換(アルミ製)など色々やっています。

 

ピックアップ

Gibson 57CLASSIC

57クラッシック

ピックアップは、前のユーザーが交換したのでしょうかね。購入時から付いていたのはGibson 57CLASSIC。

57CLASSICは、オリジナルレスポールに搭載されていた「PAFピックアップ」を、材質からデカールまで忠実にコピーしたヴィンテージ・リイシューで、癖が無く非常に使いやすいピックアップです。

GIBSON 57 CLASSICカバードタイプ GIBSON 57 CLASSIC

 

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コンデンサー/キャパシタ

Black Cat PKM 6S22 .022 MFD 600vdc ±10%

コンデンサーとは、トーン回路に使われるパーツで、当初は小さなセラミックコンデンサーが搭載されていましたが、90年代に御茶ノ水のイシバシ楽器でBlack Catコンデンサー(PKM 6S22 .022 MFD 600vdc ±10%)を購入し交換済みです(確か2つで3~4千円くらいだったと思います)。

AIによる詳細
Cornell Dubilierの Black Cat「PKM 6S22」コンデンサーは、1960年代に製造された可能性が高いと考えられます。同社の「PKM」シリーズは、1960年代に登場したフィルムコンデンサーシリーズであり、特に「Black Cat」や「Greenie」として知られるモデルが存在します。これらのモデルは、現代のフィルムコンデンサーとは異なる外観や仕様を持ち、ヴィンテージギターのトーン回路に使用されていました。

「PKM 6S22」コンデンサーは、ポリエステルフィルムとクラフトペーパーを組み合わせたデュアル誘電体構造を持つフィルムコンデンサーであり、オイルペーパーコンデンサー(PIO)ではありません。音質は、オイルペーパーコンデンサーよりもクリアで現代的な傾向があります。

Black Cat PKM 6S22 .022 MFD 600vdc ±10%は1960年代のフィルムコンデンサー

コンデンサーを換えると、どうなるのか
ほとんどのギターのトーンコントロールは全開の10にしても、完全にバイパスされるわけではないので、コンデンサーの影響を受けています。そこで、コンデンサーを良いモノに交換することで、音に艶が出たり、音が太くなったりします。

ローゲインなギタリスト向きのチューンで、特にオイルコンデンサーが人気です。レスポールなどのハムバッキングピックアップには0.022uFが一般的です。

こだわりのコンデンサ SONIC / OIL CAPACITOR

SONIC / OIL CAPACITOR

現在、日本ではほとんど生産されなくなってしまったコンデンサですが、HGC(ヒグチ電子)のコンデンサーはほぼ唯一と言ってよい日本製のオイルコンデンサーです。

SONICのコンデンサーは、入荷したコンデンサの容量を全数測定し、誤差2%以内のものだけを選んでパッケージングしています。

私のギターのほとんどに載せていますがトーンは極上です。

 

SONIC OC-223(ハムバッキング用):

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カスタムショップ製レスポールとの違い

オリジナル・レスポールの再発を願うユーザーからの要望に応える形で、1985年から始まり人気機種となった50年代レスポールのリイシュー・シリーズ(当時の価格は48万円)ですが、オリジナルの追究度という点においては’93年から発売されるカスタムショップ/ヒストリックコレクションと比べるどうしても見劣りしてしまいます(ギターそのものの質が悪いという事ではありません。より進化したものが現行スタンダートとも言える訳で・・・)。

例えば、カスタムショップ/ヒストリックコレクションはボディーとネックのジョイントをオリジナルと同様のディープ・ジョイントという強固な方式をとっているのに対してリイシューではそうでなかったり、またヘッドの形状及びペグの位置など細部において、ヒストリックがオリジナルを忠実に?コピーしているのに対して、リイシューではやや詰めが甘く、中途半端な印象を受けます。

購入当時は大して気にしていなかったのですが、レスポールの事を調べたいと思いネットを徘徊していたところ、LesPaul Premium Re-issue ClubというHPを見つけました。

サイト・オーナーである小川氏に私のリイシュー・モデルに関して問い合わせてみたところ様々な事を教えていただく事が出来ました。

という事でここで少しだけ私のレスポールに関する特徴を少しだけ(分かっている範囲で)紹介したいと思います。

そして違う年代のオーナの方や、レスポールをもっと知りたいという方は是非とも小川氏のHPをチェックしてみましょう。


ヘッド・ロゴの謎?

ヘッド・ロゴ(’88年製)

ヘッド・ロゴ(オリジナル)

私がこのレスポールを買ってまず始めに疑問に思ったのがヘッドにあるGibsonのロゴです。上のロゴは私のリイシュー・モデル、下はオリジナル・レスポールです。

何か違いますね?そうなんです””のドットがないのです。

何故なんだろうということで上記HPのオーナー小川氏に問い合わせたところ次のような回答をいただきました。

当初、”Gibson”ロゴは、大きめな一枚板のパーロイド板にマーキングをして文字を浮きださせていました(現在のHistoricもこの方式です)が、’69年頃からパーロイドを型抜きしてヘッドのつき板に埋め込むようになりました。

その際、パーロイドのドット部は本体の文字部と分かれてしまい作業性が悪く、80年代後半から、90年代初期にかけて、ドットを省略してしまったようです。

1969年以降のレスポールには確かにドットの無いものも少数ありますが(カスタムに多いですね)、本格的に省略するとはさすがアメリカ!やることが大胆です。


チューニングペグ

ヘッド

ヘッド(グローバー)

ペグにおいてもヒストリックとの違いがあります。

私のリイシュー・モデルも見た目こそクルーソンですが、実は上からナットで止めるというロトマチック・ペグが採用されています。

また、ペグの位置も違い、オリジナルやヒストリックになると、1、6弦のペグマストがやや中央に寄っており、5、2弦が、1、6弦のポストに接触するのではないかという場所に位置しています。

私は単純に見た目が嫌(戻そうにもクルーソンとロトマチックでは径が違う)だったので、ジミー・ペイジと同様のグローバーのペグ(70年代のものと同じニッケル・メッキの102-Ni)に換えてしまいました。

ペグを換えると当然ヘッドの質量が変わるので音が変わります・・・・しかし結果的には大満足。

いかにもレスポール!というサウンドからは若干遠のいた感じもしますが、音がブライトになり、こもり気味だったフロントピックアップ、センター・ポジションの音のヌケが俄然良くなりました。ジミーペイジの音に近づいたような印象です。

追記
コンバージョン・ブッシングを使うと、径の大きなロトマチックペグでもヴィンテージ風のクルーソンに変更できる事が分かりました。

詳しくは;

ペグ、トラスロッドカバーの交換 - レスポールをとことんいじる
ギブソンの多くのレギュラーモデルで採用されているペグはヘッドの表面からナットで止めるロトマチックペグです。コンバージョンブッシングを使用すればヴィンテージのレスポールの定番、クルーソンに交換できますよ。ペグ交換の手順を解説。

ディープジョイント

ディープジョイント?
写真は私のリイシューのものですが見ての通りディープ・ジョイントではありません。これがヒストリックになるとネックの末端がピックアップキャビティーの中程までのびています。

ディープ・ジョイントで得られるメリットは?というと、通常の方法よりもボディーとの密着性が高くなるために、ネックが安定し、音質、サステイン共に好影響をもたらすという事らしいですが、今でも扱いに困るほどのサステインがあります。

PUキャビティー(レスポール・リイシュー)

コントロールキャビティー(レスポール・リイシュー)
こちらはリアピックアップのキャビティーですが、配線用の穴が通常より大きく空けられているのが見えると思います。このような仕様はオリジナル及びヒストリックには見られないもので、これもこの頃のレスポールの特徴ですね。

リイシュー(復刻モデル)とはいえかなり大胆な事をしています。理由は不明ですが良質のマホガニー材(軽いもの)が手に入らない時期だったのかも知れませんね。

その為この時期のレスポールはボディー内の空洞が多いために、小川氏曰く、

14フレット1,2弦の音にエコーがかかった感じになるのがサウンド的な特徴

とのことで、よく言えばセミアコっぽいというか・・・・生音では確かにそれっぽい音がしますね。


ハカランダ指盤?

指盤はハカランダ??(レスポール・リイシュー)
ボディーから一転して指盤は非常に上質なものが使用されています。ブラジリアンローズウッド(ハカランダ)ではと思うほどの目の詰まった非常に綺麗な木目です。

年々、良質の材の確保が難しくなってきていると言われる昨今、こういうヴィンテージではなくオールド・ギターを見なおしてみるのも良いのではないでしょうか。

以上が80年代のリイシューレスポールの特徴です。

なんだかオリジナルやヒストリックとの違いばかりを挙げてしまいましたが、音の方はしっかりとロックの王道!していてなかなかのものですよ。

購入時のもしくは同年代のレスポール・ユーザーの方の参考になれば嬉しいのですが・・・・

 

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