HSHのストラトキャスター改造|コイルタップ用にミニスイッチを付けてサウンドバリエーションを増やしてみた

HSHストラトキャスター改造|コイルタップ用にミニスイッチを付けてサウンドバリエーションを増やしてみた

HSHのストラトキャスターはそのままでも多彩なサウンドが得られますが、「もっとシングルコイルらしい音も欲しい」と感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、HSHストラトにミニスイッチ(DPDTトグルスイッチ)を追加し、ハムバッキング・ピックアップをコイルタップする配線例を紹介します。

配線図も添付していますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

※厳密には、ハムバッカーの片方のコイルだけを鳴らすこの改造は「コイルスプリット」と呼ぶのが正しいですが、日本では一般的に「コイルタップ」と表現されることが多いのでそのままコイルタップと表記しています。


HSHのストラトキャスターにコイルタップを導入するメリット

久しぶりのストラトキャスター改造です。このストラトキャスター(Crews Bottom’s UP)は、もともとSSH仕様のギターでしたが、HSHに改造し、さらにミニスイッチを取り付けて少し変わった配線にしていました。

DIMARZIO搭載のHSHのストラトキャスターにスペシャルな配線を施してみた!
ストラトキャスターをSSHからHSHに改造してみました。HSHに最適なピックアップの紹介と、ミニスイッチを付けたちょっと変わったHSH配線も紹介もします。

しかし、その配線はあまり変化が感じられず、実用性も今ひとつだったため、今回はそのミニスイッチを流用しつつ、2つのハムバッキング・ピックアップをコイルタップできるようにしてみました。

ハムバッカーのコイルタップは、ボリュームポットの抵抗値(500kΩと250kΩ)の違いやコイルの巻数の違いもあり、純粋なシングルコイルと同じ音にはなりません。それでも、HSHのままでは得られない歯切れの良いサウンドが得られるのでとても実用的です。もちろんこのコイルタップはハーフトーン時にも有効です。

 

HSHの配線図

私のギターは1ボリューム・1トーン仕様なので、当サイトでも紹介している2つのパターンを組み合わせて配線してみました。

 

1ボリューム・1トーン(コイルタップなし)

HSH・1ボリューム・1トーン配膳図(コイルタップ無し)

4芯のカラーはセイモアダンカン用です

▲こちらの配線をベースにタップスイッチのみ以下を参考にしました。

1ボリューム・2トーン(コイルタップ用ミニスイッチ付き)

2 HUMBUCKERS + 1 SINGLE COIL 1 VOL / 2 TONE / 5-WAY BLADE (DPDT MINI-TOGGLE SPLIT)

参考:Wiring Diagrams – Tonerider・4芯のカラーはディマジオピックアップ用だと思われます

コイルタップに対応したモデルは各社毎にカラーが異なりますので注意が必要です

※見えにくいので補足:トグルスイッチ用のアースはフロント/リア両方に必要です。

見えにくいので補足:トグルスイッチ用のアースはフロント/リア両方に必要です。

コイルタップ用のスイッチを用意する

見た目を変えたくない場合は、プッシュプルスイッチ付きのポットを使う方法もありますが、今回は既存のスイッチを流用するため、ミニトグルスイッチをそのまま使います。

※私はシンプルな CTSの通常ポットの音質や操作感が好きなので、プッシュプルスイッチはあまり使いたくないというのもあります。

今回使用したミニスイッチ(流用ですが)は、MS-500Fという二組の回路(2極)を切り替えることができるON-ONスイッチです。

コイルタップ用に用意した「MS-500F」ON-ONスイッチ。MS-500F
MS-500Fミニトグルスイッチ

MS-500Fは、フラットレバー(板状)のものと、バットレバー(丸棒タイプ)の2種類がありますが、手が痛いのでバットレバー(丸棒タイプ)をおすすめします。

MS-500F、バットレバー(丸棒タイプ)

DPDTミニトグルスイッチの接続パターンと特徴

ハムバッキングピックアップをコイルタップする方法はいくつかあますが、今回は上の配線図と同じ「d」のパターンを選びました。

DPDTミニトグルスイッチの接続パターンと特徴

このイラストは、エレクトリックギター・メカニズムより引用したものですが、同書によると。

  • 「a」「b」では、コイルタップ時にコイル2が生きる
  • 「c」「d」では、コイル1が生きる

という違いがあります。

また、「a」「b」「c」「d」の差は、コイルタップ時に使わないコイルをオープンにする(a、c)かショートさせる(b、d)かの違いです。

  • オープンにする方法は、スイッチが故障した際に音が出なくなる可能性がある
  • ショートさせる方法は、音が出なくなる心配は少ないが、電磁制動作用や相互誘導作用により(聴感上はあまり気にならない程度ですが)音質が劣化する可能性があるため、サウンド面を重視するなら「a」または「c」が望ましい。

とのことです。

ちなみに、相互誘導というのは、ハムバッカーの2つのコイルが近くにあるために、お互いの磁力線や電流が微かに干渉し合う現象のことです。ここで言う「劣化」とはネガティブな意味ではなくポジティブな効果もあるので以下で説明します。

 

サウンドインプレッション:HSHとコイルタップスイッチの組み合わせはかなり実用性が高い

実際に組んでみると、以前の配線よりも明らかに実用性が高くなりました。

今回の採用した配線では、ミニスイッチがブリッジ側のときはハムバッキング、ネック側では内側のコイルのみが生きるシングルコイルになります。もちろんハーフトーン時にも有効です。

コイルタップ用にミニスイッチを付けてサウンドバリエーションを増やしたHSHのストラトキャスター

他のパターンも試してみないと断言はできませんが、「d」のパターンではシングル時に内側コイルが有効になるため、外側コイルを使うよりも音がやや柔らかくなるのだろうと想像できます。

特にリアのシングルコイルは硬い音になりがちなので、内側のコイルを使ったシングルコイルというのは良いと思います(逆にフロントは若干硬い音になる)。

 

コイルタップはオープンよりショートの方が音が太い??

以前のイメージでは、ハムバッキング・ピックアップをコイルタップした音というのは、もっと硬いシャリシャリした音だと思っていたのですが、これは内側のコイルを使っているというのもあるのでしょうが、ショート方式でコイルタップしたからではないかと思いました。

上のエレクトリックギター・メカニズムの説明では「劣化」とありましたが、その劣化により音がマイルドになり、シャリシャリ感が抑えられている印象です。

というのも、オープン方式のコイルタップというのは、片側コイルを完全に切り離すものですが、ショート方式では、OFF側のコイルをショートしているだけなので、完全なシングルコイルではなく、「シングルコイル風の音」になります。

そのため、コイルタップ時に、OFF側のポールピースをドライバーで触ると、小さいながらも音が出ます。そのせいで音が若干太くなってるというのもあるのかもしれません。

また、完全なシングルコイルではノイズ面の心配もありますが、ショート方式ではノイズ面でも有利なようです。

そのあたりは詳しくないのでAIに聞いてみました。

音のニュアンス

  • オープン方式:片側コイルを完全に切り離すので、理論上は 純粋なシングルコイルの音。シャープで歯切れが良く、HSHの中では明確にシングルコイルらしいサウンド。
  • ショート方式:OFF側のコイルがショートされているので、完全なシングルコイルではなく、シングルコイル風の音。相互誘導などで若干太めになったり、低域が丸くなる傾向がある

ノイズ面

  • オープン方式:シングルコイル的な配線になるので、ハムバッカーの片側だけ使う場合と同じで ノイズ(ハム)が乗りやすい。ただし、ハムバッカー全体を使用した場合に比べれば小さく、演奏環境やギターのシールド状況にも依存。
  •  ショート方式:OFF側のコイルが回路に残っているため、完全なシングルではない。微弱な相互誘導があるものの、ハムキャンセル的な効果が少し残る場合があり、オープン方式より 若干ノイズが少なくなることがある

💡まとめると

  • オープン = 音は純粋なシングルコイル、ノイズも出やすい
  • ショート = 音はシングルコイル風、若干太くなる、ノイズは少し抑えられる場合がある

ショート方式で音が太くなる理由

  1. キャンセル側のコイルが完全にゼロにならない:
    ショート方式では、キャンセルするコイルをアースに落とすことで信号を遮断しますが、磁界的には存在し続けているため、若干の影響を残します。これにより、完全なシングルよりも中低域が残りやすく、音が痩せにくい傾向があります。
  2. 巻き数の少なさによる出力低下が緩和される:
    シングルコイルは通常8000巻前後ですが、ハムバッカーの片側は5000巻程度。ショート方式では、アースに落としたコイルが若干の負荷として残るため、出力が完全にシングル並みに落ちるわけではなく、音量差が少なく、太さが保たれることがあります。
  3. 抵抗を使った「擬似タップ」方式との親和性:
    PRSなどが採用する「抵抗付きショート方式」では、キャンセルするコイルに抵抗を挟んで信号を少しだけ残すことで、音の線が細くなりすぎないように調整できます。

この方式は「シングルっぽいけど芯がある」音を狙う際に非常に有効です。

とのことです。これはあくまでもAIによる回答ですが、今回の改造で私自身が「今までのコイルタップよりも音が太くて使いやすい」と感じたのはこのオープンとショートの違いもあるのかもしれません。

ちなみに、SSHやHSHのギターでハーフトーン時にセンターとリア(またはフロント)をコイルタップして鳴らす「オートマチックコイルタップ回路」もありますが、それらはショート方式だそうです。

このあたりももっと勉強すると面白そうですね。

 

まとめ:バリエーションを増やす意味では十分価値がある改造

今回の改造は久しぶりだったため、テスターを使いながらの試行錯誤で時間がかかりましたが、以前よりも使い勝手が良くなったと思います。

HSHのストラトキャスターにミニトグルスイッチを付ける改造

ディマジオのこのピックアップ(DP192とDP193)は、ハイパスコンデンサーを入れているわけではありませんが、ボリュームを絞ることでシングルっぽい音も作れるので必須ではありませんが、サウンドバリエーションを増やす意味では十分価値がある改造だと思います。

DIMARZIO ハムバッキング・ピックアップカタログ

ちなみにコイルタップ時の直流抵抗値ですが。

  • リア「Air Zone (DP192)」は 16.5kΩ → 9.4kΩ
  • フロント「Air Norton (DP193)」は 12.2kΩ → 7.3kΩ でした。

※ギターに取り付けた状態で測定しましたので、直流抵抗値に1~5%程度の誤差が生じます。

ピックアップの選び方と調整方法 – 理想のサウンドを手に入れるための完全ガイド

HSHのストラトキャスターはそれだけでも十分なバリエーションを持っていますが、1つスイッチ追加するだけで、シングル⇔ハムの切り替えが出来るだけでなく、センターPUとの音量/音質のバランスが取りやすくなりますし、また、柔らかなシングルコイルサウンド側で音を作れば、ギターソロ時にハムバッキングに切り替えることで、ゲインブースター的にも使えるのというのも素晴らしい点です。

この配線に興味がある方は、ぜひ試してみてください。

※配線に関する質問は受け付けていません(詳しくないので)。作業は自己責任でお願いします。

参考書籍:エレクトリックギター・メカニズム

巻末の豊富な配線例がありがたい。ギターピックアップの交換はもちろんその他の改造にも無くてはならない本ですのでギターの調整や改造に興味のある方は是非。

エレクトリックギター・メカニズム

 

 

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