トレモロスプリングは、ストラトキャスターのサウンドには欠かせないパーツです。フローティングにするか、ノンフローティングにするかはもちろん、スプリングの本数やかけ方によってもかなり音は変わります。
今回、某スプリングメーカー様より「開発中のトレモロスプリング5種類」をご提供いただきましたのでレビューしてみたいと思います。

※今回ご紹介するトレモロスプリングは、開発中の製品ということで、社名等の情報は控えさせていただきます。
トレモロスプリングとは
トレモロスプリングとは、シンクロナイズドトレモロやフロイドローズなどのトレモロ・ユニットに使用するパーツで、ストラトキャスターユーザーにはおなじみですね。

トレモロユニットにこのスプリングを張ることで、アームを使い音程を変化させてもユニットの位置を元に戻すことが出来るのです。多くのスプリングは問題ないと思いますが、ここに粗悪品が使われていると、チューニングの狂いにも直結する大変重要なパーツです。
トレモロスプリングの音に対する影響
そんなトレモロスプリングですが、ストラトキャスターのサウンドにはとても重要で、フローティングにするか、ノンフローティングにするかはもちろん、スプリングの本数を変えたり、太いものや細いもの、テンションの緩いものなどに交換することでサウンドに変化を加えることが出来ます。
代表的なトレモロスプリングは以下の2点。
Raw Vintage RVTS-1 / ESP TREMOLO TONE SPRINGS:

このトレモロスプリングは、共にヴィンテージ・ストラトキャスターの質感を再現するために開発されたスプリングで、ややテンションの緩いのが特徴です。

5種類のトレモロスプリング詳細データ
今回レビューするのは、某スプリングメーカーさんより提供いただいたオリジナルトレモロスプリング5種類です。詳しく見てみましょう。

※以下のデータはメーカー様提供によるものです。
SP02 SUS spring

- 材質:SUS304(Stainless Steel)
- 材料径:1.40mm
- コイル外径:8.62mm
- 自由長:66.00mm
- コイル巻き数:35.5巻
- 重量:10.24g
SP03 Fatman

- 材質:SUS304(Stainless Steel)
- 材料径:1.40mm
- コイル外径:8.50~10.50mm
- 自由長:65.50mm
- コイル巻き数:35.5巻
- 重量:11.30g
SP04 Lilith

- 材質:SUS304(Stainless Steel)
- 材料径:1.40mm
- コイル外径:8.40~10.90mm
- 自由長:65.15mm
- コイル巻き数:35.5巻
- 重量:10.62g
SP05 PB spring

- 材質:C5191W-H(リン青銅)
- 材料径:1.50mm
- コイル外径:8.70mm
- 自由長:69.40mm
- コイル巻き数:34.5巻
- 重量:13.24g
SP06 Anubis

- 材質:C5191W-H(リン青銅)
- 材料径:1.50mm
- コイル外径:6.30~9.00mm
- 自由長:67.25mm
- コイル巻き数:23.5巻
- 重量:7.88g
これら5種類のトレモロスプリングと、汎用のトレモロスプリングとで比較してみました。また、リプレイスメント用の定番 Raw Vintage RVTS-1と、ESP TREMOLO TONE SPRINGS Type-1との比較もしてみます。
トレモロスプリングレビュー
ギターはフローティングと、ノンフローティングのストラトキャスターの両方で試してみましたが、特に大きく変わったのがフローティング状態のストラトキャスターです。
フローティングのストラトキャスターは、トレモロユニットがボディーに接する部分が少ないからでしょうか、スプリングの影響が大きいのでしょう。


生音での比較と、アンプを通したときの音の違いを比べてみました。
SP02 SUS spring

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | 汎用スプリングの硬く平坦な音が、しっとりと、立体的になった |
| アンプを通した音 | 若干明るくなりヌケの良さを感じた |
SP03 Fatman

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | ふくよかさに加え、プレーン弦のキラキラ感がよりキレイに出る |
| アンプを通した音 | 音が太くなる |
SP04 Lilith

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | 汎用スプリングに一番近い音。音は割と平坦。しかしフローティングのストラトキャスターとの相性は良く艷やかさが増す。 |
| アンプを通した音 | アンプを通すと音に深みが出る。バランス良し。 |
SP05 PB spring

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | 上記スプリングと比べると、音の太さやパワー感がなく、汎用スプリングの持つ高域成分も若干低下する印象。フローティングとストラトとの相性は良く、キラキラ感が増す。 |
| アンプを通した音 | 音が太く柔らか。RVTS-1と同じ張力というのも頷けますが、RVTS-1や、ESP TREMOLO TONE SPRINGS Type-1よりは高域成分は残っています。 |
SP06 Anubis

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | 硬い、音にふくよかさがなくなるが、大人しめのギターとの相性は良い。 |
| アンプを通した音 | 生音では期待外れ感がありましたが、アンプを通すと歯切れの良さが出て、予想を覆す良い音でした。 |
参考:Raw Vintage RVTS-1

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | 柔らかな音、高域成分はかなり減る |
| アンプを通した音 | 音が太くなる。高域成分はかなり減る |
参考:ESP TREMOLO TONE SPRINGS Type-1

| 項目 | 音の印象 |
| 生音 | 柔らかな音、耳に痛くない高域成分はRVTS-1よりは残っている |
| アンプを通した音 | 音の太さと柔らかさ、歯切れの良さが素晴らしい |
まとめ:ストラトキャスターの音はスプリングで決まる!
今回ご提供いただいたトレモロスプリングは、試作品であり、まだ商品化の予定はないとのことですが、これはかなり高品質です。
お世辞を言うわけではありませんが、汎用のトレモロスプリングと比較すると、汎用のトレモロスプリングは、音が平坦で硬く、さらに耳に痛い不快な成分が混じったような音ですが、今回テストさせていただいたトレモロスプリングはどれも音が立体的でふくよかで、ギターが生き生きとするのを実感しました。
ストラトキャスターの音はスプリングで決まる!といっても過言ではありません。
特に、フローティングしたストラトキャスターに使うと音が大きく変わります。5種類の中では、甲乙つけがたいのですが、SP02 SUS spring、SP03 Fatman、SP04 Lilithはどれも良かったです。アンプを通した音はリン青銅製のSP05 PB springも、SP06 Anubisも良かったです。

そしてあらためてRaw Vintage RVTS-1と、ESP TREMOLO TONE SPRINGS Type-1を試してみましたが、これらは柔らかくこもった音になるのですね。
これらのスプリングは、ヴィンテージのストラトキャスターの、ある意味ヘタったスプリンクを再現しているのでそういう音なのでしょうが、今回提供いただいたトレモロスプリングは、Raw Vintage RVTS-1と、ESP TREMOLO TONE SPRINGS Type-1の、ヴィンテージ風の音の柔らかさや太さもありながら、音のハリも失われず、どれも好印象でした。
これらのスプリングの音を体験してしまうとちょっと汎用のスプリングは音が平坦すぎて遠慮したくなります。
サウンドがここまで変わるのであれば、商品化すれば間違いなく売れるのではないかと思います。ただしギター業界は非常に保守的な世界でもあるので、「いかにブランディングするか」でしょう。さらに重要なのが価格設定です。単に安ければ良いというものではなく、むしろある程度の価格帯を設定したほうが、付加価値や信頼性を感じてもらいやすく、逆に売れるなんてこともあるかもしれません(素人なので詳しくはわかりませんが)。
最後に、トレモロスプリングをテストする機会をいただき某スプリングメーカーのI氏には感謝いたします。
トレモロスプリングによる音の違いは以前から注目していて、様々なものに交換したり、スプリングのかけかたを変更するなど個人的に色々試していたのですが、今回ステンレス鋼やリン青銅などの材質の違いや径の違いによりかなり変わるのだということがわかりました。やはりスプリングは奥が深いですね。
これらのトレモロスプリングはまだ開発中とのことで、詳細は明かせませんが、SNS「X」では情報を発信されていますので、興味のある方はフォローしてみて下さい。
D_d3-8(@coil_crafter)さんの X アカウントはこちらから。
この記事を読んでいるあなたにおすすめ





